業情報研究所
フィリピン:Btコーン種子購入に補助金
農業情報研究所(WAPIC)
03.1.17
昨年12月、フィリピン農業省の植物産業局が、モンサント社の開発した害虫抵抗性遺伝子組み換え(GM)コーン・'YieldGard'の商用栽培を承認した(ISAAA,Monsanto's Insect-Protected Corn Approved for Planting in the Philippines,02.12.5)。数ヵ月先に栽培が始まりそうだというが、そうなればフィリピン、というよりアジア初の食用GM作物の商用栽培となる。
しかし、農民が実際にこの種子を使うことになるのかどうか、まだはっきりしない。この種子の価格は慣用の種子よりも相当に値段が高いからである。「ビジネス・ワールド」が伝えるところによると、植物産業局は、種子購入のために利用できる財政援助を与えることになりそうだという(Gov't may grant subsidy for Bt corn seed purchases,03.1.5)。また。モンサント社も、現在、この種子が農民にもたらす有償・無償の便益を量的に確定、慣用種子との価格差を設定する作業を進めている。フィリピン・トウモロコシ連盟会長は、「慣用種子よりも50%高くても、農民は与えられた生産性改善の約束にプレミアムを払うつもりでいる」と言う。
途上国を最大のターゲットと定めたバイテク企業のGM作物売り込み戦略は、アフリカやインドのGM食糧援助拒否に見られるように、行き詰まりの様相を呈してきた。しかし、執拗に売り込みを続けてきた東南アジアで、突破口が開かれるのであろうか。今後数ヵ月の動きに注目する必要がある。
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