メキシコ:広大な地域で在来コーンがGM汚染、スターリンクも

農業情報研究所

03.10.18

 メキシコの先住民と農民の連合を発起人とする新たな研究によると、食用とすることを禁じられているスターリンクも含む遺伝子組み換え(GM)コーンによるメキシコ・コーンの汚染が広範に広がっている。一部のコーンは、多国籍企業が特許をもつ三つか四つのタイプのGMコーンに汚染されている。IPS Newsが10月14日付で報じた(Mexican Maize Meets Banned Variety

 この研究は、国立メキシコ自治大学の生物学者と共同で行なわれたもので、138の農業・先住民コミュニティーから集められた2,000のコーンを検査した。9州の33(24%)のコミュニティーの土着コーンに組み換え遺伝子が発見された。コーンのサンプルの1.5%から33.5%が汚染されていた。これらの州では、コーンの一部は、米国では飼料用にしか承認されていないスターリンクとして知られる品種に見られる殺虫毒素(Cry9c)も検出された。

 汚染の原因は米国から入るコーンの一部を、農民が種として播いていることにあるらしい。国の一部地域は厳しい干ばつで農民はこれ以外に播く種がない。メキシコは500万dkら600万dにのぼる米国コーンを輸入するか、食糧援助として贈られている。アジアやヨーロッパの拒絶のために、メキシコに送られる米国コーンの50%から60%はGMコーンだという。

 政府は過去2年間に4回の調査を行なっているが、結果は公表されていない。メキシコはGMコーンの輸入や食糧援助を受け入れてきたが、栽培は禁止している。メキシコ先住民・農民は、メキシコ・シティーで行なった記者会見ですべてのコーン輸入の禁止を要求した。厚く補助された米国コーンが生産費以下で売られ、農民は土着品種栽培の停止を余儀なくされているという。しかし、メキシコ農業省はGMコーン栽培禁止の解除を示唆している。先住民コミュニティーを訪ねた省代表は、GM作物はいくつかの国で5年から6年栽培されており、健康への悪影響は証明されていないから、汚染を心配することはないと語ったという。

 しかし、汚染コーンの変形は一目でわかり、古老もこんなコーンは見たことがないという。先住民の一人は、我々のコーンが体に良いことは1万年の歴史が証明している、汚染は、人類のために千年にわたりコーンを栽培し、改良してきたすべての先住民と農業コミュニティーに対する犯罪だと怒っている。

 メキシコ・コーンのGM汚染は、二年前にカリフォルニア大学の研究者が発見したが、開発関係科学者の強い圧力でうやむやにされてきた。

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