農業情報研究所>農業・農村・食料>欧州>ニュース:20年10月22日
EU農相 CAP改革に合意 環境保護に一歩前進も援助の大半はファクトリーファームに
21日、EU27ヵ国農相会合(閣僚理事会)が一層の環境保護をめざす共通農業政策(CAP)の改革(EU CAP改革にむけた議論開始 めざすは欧州グリーンディールへの貢献 農業情報研究所 20.10.21)で合意した。改革の行方は今後の欧州議会における交渉に委ねられることになる。
閣僚理事会の合意によれば、農業者は一層厳格な環境基準を遵守せねばならず、さもないとEUからの財政援助を受けられない。EU各国は、面積規模に応じて支払われる直接支払(基礎支払い→EU 共通農業政策(CAP)改革が最終合意 日本農政の盲点を知る 農業情報研究所13.10.29)の最低20%を厳格な環境プログラムに参加する農業者への支払いに当てるよう義務付けられる。基礎的環境・気候基準を超える環境プログラムに参加する農業者は追加支払いを受けることができる。
環境プログラムには高度の精密農業、アグロフォレストリー、有機農業などが含まれるが、各国はそれぞれの必要に応じて適切な方法を指定することもできる。
EU agriculture policy: What are the bones of contention?,Deuitsche Welle,20.10.21
この改革をどう評価するか。環境保護に向かって一歩前進したとは確かであろう。ただし、環境を損傷し・生物多様性を損なう大規模ファクトリーファームがEU援助の大半をせしめる基本的構造は変わらない。EU援助は中小規模農業者にこそ振り向けるべきだという根強い批判は依然として残る(Opinion:
EU fails to introduce real agricultural reform,Deutsche Welle,20.10.21)