カナダ 新たな狂牛病の疑い カナダ産牛のリスク再評価が必要ではないのか

農業情報研究所(WAPIC)

06.7.11

  カナダ食品検査局(CFIA)が10日、狂牛病(BSE)を疑われる新たな牛が発見されたと発表した。この牛はアルバータ州の農場で死亡した50ヵ月齢の乳牛で、スクリーニング検査の結果からして狂牛病の可能性を排除できないために、ウィニペグの国家基準試験所で確認検査を実施中という。

  CFIA Press Release:POTENTIAL BSE CASE IN ALBERTA,7.10
  http://www.inspection.gc.ca/english/corpaffr/newcom/2006/20060710be.shtml

 もし確認されると、カナダ牛としては7例目、2003年12月に米国ワシントン州で狂牛病と確認されたアルバータ生まれのケースを含まると8例目のケースとなる。

 50ヵ月齢というから生まれたのは2002年5月頃ということになり、1997年8月のフィードバンから5年近くを経た後の生まれである。2000年生まれの2頭については、既に交叉汚染飼料以外の感染源は考えられないとされており、最新のケースついても、狂牛病と確認されれば、同様な結論が予想される。これまでの感染源調査では代用乳はまったく無視されており、今回も調査されることはなさそうだ。

 いずれにせよ、フィードバン以後に生まれた牛に感染が広がっていることだけは確かだ。

 韓国はカナダ産牛を同一ラインで処理しているいくつかの食肉処理施設があるとして米国産牛肉の輸入再開を延期しているが、先週のマニトバ州での確認に続く確認となれば、この問題に一層神経を尖らせるに違いない。

 韓国の米国産牛肉輸入再開延期 米国以外の国や30ヵ月以上の牛の肉の混入を恐れる,06.6.7

 わが国について言えば、作年12月に発表された食品安全委員会の米国・カナダ産牛肉・内臓の健康影響評価は、52,817頭の高リスク牛を検査して2頭が陽性となった2004年1月から2005年6月21日までのカナダにおける強化サーベイランスの結果によりカナダの生体牛のリスク評価を「検証」したが、その後のサーベイランスでは約56,000頭(1995.7-1996.6)を検査して3頭が陽性となり、さらに1頭が追加される可能性がある。

 CFIA:BSE Enhanced Surveillance Program
 http://www.inspection.gc.ca/english/anima/heasan/disemala/bseesb/surv/surve.shtml#num
 カナダ生まれの牛の狂牛病7例目確認 米国のサーベイランスの有効性が疑われる,06.7.5

 この評価は、「我が国のリスク管理機関による米国とカナダのサーベイランスデータの恒常的把握が必要で、それに基づいたリスクの再評価があり得る」としていた。新たなサーベイランスデータによる再評価の必要はないのだろうか。