カナダ 肉骨粉汚染飼料が牛農場に 食品検査局が食べた動物の突き止めと監視へ 

農業情報研究所(WAPIC)

06.11.20

  カナダで、1997年8月以来の飼料規制で牛など反芻動物に与えることが禁止されている肉骨粉を含む恐れのある飼料が出荷されたことが発覚した。飼料を供給する”アグリブランド カナダ”社(Agribrands Canada Inc.)が、カナダ食品検査局(CFIA)に対して、少量の肉骨粉が反芻動物飼料の生産に使われる成分と接触したことを知らせたもので、このような飼料が過去2週間から3週間の間にケベックとオンタリオの牛飼育農場に出荷された。CFIAは18日、調査を開始し、関連する家畜の移動を監視していると発表した。

 CFIA LAUNCHES FEED INVESTIGATION,0611.18
  http://www.inspection.gc.ca/english/corpaffr/newcom/2006/20061118e.shtml

 この発表によると、CFIAの検査官がオンタリオとケベックのおよそ100の農場を訪れている。CFIAは、予防措置として、関係する動物を突き止める作業を進めるとともに、動物に対してあり得る健康リスクを決定するための調査と科学に基づく評価が完了するまで、これら飼料に暴露されたすべての牛やその他の反芻動物の移動の監視を続ける。

 調査官は、あり得る暴露のレベルがどれほどのものかをはっきりさせるために、各農場が受け取った飼料の量と、どの動物に与えられたか確認する。これによりこの飼料を与えられた家畜の識別と移動統制が可能になる。また以前の家畜移動は農家の記録を通して検証されるだろうという。

 同時に、CFIAは、この飼料会社への飼料成分供給者が、将来同様な事態が起きるのを防ぐために必要とされる工程や手続を改めたかどうかを検証する。また、汚染物質を扱ったすべての飼料工場、農場、輸送車を検査し、施設の適切な洗浄を確保する。

 他方、カナダでは人間消費用のと畜されるすべての動物から特定危険部位(SRM)が除去されており、BSEは潜伏期間が長いからこれら飼料に暴露されたかもしれない動物に関連した食品安全上の心配はないと強調している。動物の安全に関しても、産業の飼料規制遵守レベルは高いと強調する。

 ただし、今年7月に発見された飼料規制実施から4年半後に生まれた7例目の50ヵ月齢のBSE感染牛は、この飼料規制の有効性に重大な疑問を提起している。現在の飼料規制は一定の哺乳動物由来の蛋白質を牛などの反芻動物の飼育に使うことを禁止するもので、SRMを含む禁止蛋白質も、家禽・豚・その他の非反芻動物の飼料に使うことは許されてきた。

 CFIA自身、7例目は非常に限定された汚染機会でさえ、定期的に感染をもたらし得ることを示すとして、すべての動物飼料・ペットフード・肥料へのSRMの利用を禁止することを決めている(カナダ 7例目狂牛病調査結果 非常に僅かな汚染機会でも定期的感染の可能性,06.8.25;カナダ 最近の狂牛病2例の考えられる唯一の感染源は交叉汚染飼料 SRM全面禁止へ,06.6.27)。ただし、その実施は来年7月まで待たねばならない。今回問題となった飼料が将来のBSE発生につながる可能性は低いとは言えないだろう。食品安全の確保の観点からだけではなく、既存の飼料規制の有効性を見る上でも、これらの飼料を与えられた牛の徹底した追跡と監視は重要な意味を持つ 。