カナダ 7例目狂牛病調査結果 非常に僅かな汚染機会でも定期的感染の可能性

農業情報研究所(WAPIC)

06.8.25

  カナダ食品検査局(CFIA)が24日、1997年のフィードバン実施の4年半後に生まれた当時50ヵ月の7例目の狂牛病のケースに関する調査結果を発表した。

 REPORT ON THE INVESTIGATION OF THE SEVENTH CASE OF BOVINE SPONGIFORM ENCEPHALOPATHY (BSE) IN CANADA,06.8.24
 http://www.inspection.gc.ca/english/anima/heasan/disemala/bseesb/ab2006/7investe.shtml
 News Release:BSE INVESTIGATION REACHES CONCLUSION,06.8.24
  http://www.inspection.gc.ca/english/corpaffr/newcom/2006/20060824e.shtml

 この調査で最も注目されたのは感染源は何かということである。今のところ、一般的には感染源が飼料に含まれるであろう感染動物の感染性組織であるとされており、CFIAもそれ以外の感染源はまったく想定していない。とすると、このケースの発生はフィードバンの基本的有効性を問うものとなる。

 CFIAは、先ずこの牛が狂牛病と無関係な原因で死んだもので、生きていればあと3ヵ月から6ヵ月、さらにその後1ヵ月から2ヵ月の間、狂牛病を発症しなかった可能性が高いから、このケースが異例に若いわけではない、またカナダの検査の感度が非常に高いためにこのケースが発見されたとして、これはこのケースが非常に低レベルの感染性に曝されたことを示唆すると言う。高レベルの感染性に曝されたとすればフィードバンへのまともな違反を疑わねばならないが、そうではなく、偶然に起きた”交叉汚染”が感染原因だと推測するためである。

 実際にすべてのあり得る感染ルートの調査を行ったが、農場、小売、製造のレベルにおけるフィードバン遵守状況は概して良好であった。ただし、一つの牛飼料のバッチの禁止物質による汚染を可能にしたかもしれない営業飼料施設が見つかり、このバッチ全体がこのケースの農場に運ばれたことが分かった。このことから、これが最も有力な感染源と見られる。従って、この汚染の可能性を確認するための調査を開始したという。

 CFIAは、米加両国は2005年にカナダのフィードバンの有効性を確認したが、それにもかかわらず、これは非常に限定された汚染機会でさえ、定期的に感染をもたらし得ることを意味すると言い、今年6月に発表しやフィードバン強化(すべての動物飼料・ペットフード・肥料への特定危険部位の利用 を禁止、ただし実施は来年7月12日から→カナダ 最近の狂牛病2例の考えられる唯一の感染源は交叉汚染飼料 SRM全面禁止へ,06.6.27)の意味を強調している。

 未だにフィードバン強化(それもカナダに大きく劣る)に踏み切らず、この7例目のケースは「米国とカナダの動物と人間の衛生保護システムに関して答えねばならない問題を提起する」としていたジョハンズ米農務長官は(カナダ 50ヵ月齢の乳牛の狂牛病確認 米国も感染源調査に加わる,06.7.14)、「非常に限定された汚染機会でさえ、定期的に感染をもたらし得る」というCFIAの発現をどう受け止めるのだろうか。CFIAは、「米国とカナダの動物と人間の衛生保護システム」に問題があったことをはっきりと認めている。

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