農業情報研究所>グローバリゼーション>二国間関係・地域協力>ニュース:2015年1月4日
米上院財政委員長 オバマ政府はTPP交渉で為替操作禁止を要求せよ ファスト・トラックにまた難題
米国議会選挙で自由貿易推進派が多数を占める共和党が上下両院とも制したことから、議会は間違いなくオバマ政府に貿易促進権限(ファスト・トラック)を与える、TPP等貿易協定交渉の最大の障害の一つが取り除かれるだろうという観測が強まっている。それを前提に、TPP交渉も日米が農産物交渉で妥協すれば早期に妥結に漕ぎ着けることができるだろうと、日本政府が提示する米国産の米や牛肉などの輸入障壁の引き下げ案がマスコミを賑わしている。
しかし、こういう重大な情報については、日本のマスコミはまった伝えない。すなわち、共和党のオリン・ハッチ上院財政委員会委員長が1月30日、オバマ政府は貿易交渉に際し、米国の貿易相手に為替操作をしないと約束させねばならない、通貨の問題に取り組むことが議会のファスト・トラック法支持を勝ち取る鍵になると述べたことである。
US
must target currency manipulation in trade deals: senator,Reuters,15.1.30
米政権はTPP交渉で為替操作禁止要求すべき=上院財政委員長 Reuters
jp 15.1.30
議会の支持を得るために米政府がTPPに為替操作禁止条項を付け加えることを要求すれば、交渉はひっくり返る。日本政府はもそんな要求を飲むことはできないだろう。農家の不満・反対は蹴散らしても進むが、自動車、電機などの輸出企業は蹴散らすわけにもいかないだろう。早期妥結を言うにはまだ早すぎるのである。