農業情報研究所>意見・論評・著書等紹介>2022年6月9日
リニア中央新幹線 完成時期のめども立たず 計画は中断するしかない
そもそも南アルプスに穴を開けるなというのが技術過信の無謀な計画だった。それに脱炭素、エネルギー受給逼迫の中で、リニアを動かすために必要となる電力をどこから調達するというのだろう。原発が頼りにならないことはっきりしている(原発は当てにできない電力供給源―原子力資料情報室 農業情報研究所 22.6.7)。
リニアトンネル残土の影響も環境保全議論の範囲に 静岡工区の国交省会議 検証の期限は設けず 信濃毎日新聞 22.6.9
リニア中央新幹線の経過
国土交通省は8日、リニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区の環境保全を検証する有識者会議の会合を東京都内で開いた。同省は、水資源に関わる課題だけでなく、工事で出た残土が生態系などに及ぼす影響も議論の範囲に入るとの認識を表明。会議の終了後、期限を設けず議論する方針も示した。担当者は「(結論の時期は)まったくめどが立っていない。場合によっては2年ぐらいかかるかもしれない」と述べた。
静岡工区は、生態系や水資源への影響を懸念する静岡県の反対で着工が遅れている。東京・品川―名古屋は予定していた2027年開業が難しくなっており、今回の議論が長期化すれば、さらに開業時期がずれ込む可能性もある。
国交省は記者説明で「しっかり議論していくことが大事だ」と説明。静岡県の難波喬司理事は「歓迎したい。丁寧に議論を進める中で(結論を出す)時間が決まっていく」と強調した。JR東海の宇野護副社長は「会議が円滑に進むよう事業者として真摯(しんし)に対応したい」と話した。
有識者会議はトンネル掘削が野鳥や川魚、植物といった生態系に与える影響などを検証、JR東海の対策が十分かどうか確認していく。今秋にかけ現地調査や関係者からの聞き取りをした上で論点を整理し、議論を進める計画だ。
20年4月に発足した会議のメンバーを入れ替え、河川工学や生態学の専門家らで構成。座長には中村太士北海道大教授(生態系管理学)を選んだ。オブザーバーとして静岡県や環境省なども加わる。
この日、委員の辻本哲郎名古屋大名誉教授(河川工学)は、同会議がこれまで大井川の水資源について議論してきた経過を踏まえ、今後の検討を「水利用に関わる生態系の問題に限るのか」と質問。国交省は「水に限定することではない」とした。
静岡県は大井川の流量減少など水資源への影響も問題視し、JR東海との協議が続いている。
【土の声を 「国策民営」リニアの現場から】 運行には原発が必要? 〈第6部 電力依存②〉 信濃毎日新聞 22.6.8
■2050年 中電管内の発電2割は「原子力」
パチパチパチパチ…。東京駅隣接のビルの4階。記者20人ほどが長机の前に1人ずつ座り、パソコンのキーボードをたたく音が続いていた。
「消費電力については、電力会社の供給力の範囲内で十分賄えると考えている」。5月27日、JR東海の金子慎社長は記者会見でリニア中央新幹線の消費電力を巡る取材班の記者の質問に胸を張った。
JRによると、今夏の電力の供給力見込みは東京電力エリアが5914万キロワット、中部電力エリアが2706万キロワット、関西電力エリアが2730万キロワット。リニアのピーク時消費電力は東京・品川―名古屋間開業時が27万キロワット、大阪までの開業時が74万キロワットで、供給規模に比べ小さいとする。
ただ、名古屋開業時の消費電力27万キロワットについて2014年6月、JRがまとめた環境影響評価(アセスメント)書に対する環境相意見はくぎを刺した。「あらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない」
実現は難しいがJRは名古屋までの27年開業、37年の大阪開業を目指してきた。電力をどう賄うのか。大阪開業時に供給区間が最も長くなる中部電力(名古屋市)は取材に「需要規模にかかわらず顧客の申し込みに対して適切に供給設備を構築する」と説明。詳細は明らかにしていない。・・・
【土の声を 「国策民営」リニアの現場から】 自社発電ないJR東海〈第6部 電力依存③〉 信濃毎日新聞 22.6.9
【土の声を 「国策民営」リニアの現場から】 東京ー大阪「原発1基分」 〈第5部 電力依存①〉 信濃毎日新聞 22.6.7
リニア中央新幹線をめぐって 山本義隆 みすず書房 2021.4.9
農業情報研究所:NO!リニア中央新幹線:2021年~