SHADE AND DARKNESS
zero
「light and colour」
俺の世界はずっと灰色だった。
つきなみな表現だが、本当にそうだった。
ザラ家の嫡子。その重圧と責任は、産まれ落ちたその時からつきまとったから。
四歳の時、世界は黒と白だけで構成されているのではないと知った。
キラ・ヤマトという少女が、それを俺にもたらしてくれたから。
唯一キラの存在だけが、俺の世界を光と色彩で満たした。
移動の繋ぎのためだけに割り振られた個室にピアノがあった事は、ニコルにとって幸いだった。
僅かな待ち時間の間にその蓋を開け、指を滑らせる。
戦場で音楽を思うなど、甘い。イザークとディアッカには散々そう馬鹿にされた。
それでも彼は音楽への情熱を捨てはしなかった。それは彼の中で、戦争を終わらせる決意と同等の重要さを持っていたから。
平和な世界で心置きなくピアノを奏でるために。
そのためには、戦争を終わらせなくてはならない。
無論、ザフトの勝利をもって。
時間にはまだ余裕があったが、先にニコルと合流しようとしたアスランは、思わず部屋の前で足を止めた。
その曲を、彼は知っていたから。
…懐かしい曲だ。
幼い頃キラと…よく、歌った。
これはピアノ用にアレンジされた対の曲で、キラと歌っていたのはボーカルの入った曲。そんな違いはあったけれど、でもこのふたつの
曲は、今でも鮮明に覚えている。
「……We will be ………………」
耳に残る旋律に、舌に刻み込まれた歌詞を乗せようとして、声が詰まる。
―――――We will be friends, and make this sad story end.
本当に。
すべて終わりにしてしまうことができれば、どんなにいいだろう。
俺達が対立しなければならない…こんな現実に、今すぐエンドマークを付けることができたら。
俺達は親友なのに。いや、…本当は。
それ以上に強い感情を、お互い抱き合っている事を知っているのに。
UPの際の海原のツブヤキ…興味のある方は↓反転して下さい(大した事書いてません)
…本当は「fate」が終わってから連載始めようと思ってたんですが…
…とりあえずのっけちゃいました(←をい)。
というわけで、二つ程予告を。
1・更新は激遅です^^; 「fate」終わってから本腰入れるつもりなので。
2・最終的にアンハッピーエンドです。多分読後感はあまり良くないかと。