独自情報


第1章 イントロダクション

反転・非反転増幅器・精密な直流伝達関数と,そのメカニズム

反転・非反転増幅器で,入力電圧と帰還回路の部品定数,および誤差要因の電圧・電流を代入すると,それらを合算した直流出力電圧が得られる伝達関数です。
イントロダクションの章にふさわしく,「負帰還増幅器の動作原理」と「伝達関数の計算式」を関連付けるように説明を展開します。
伝達関数の計算式は,過度に整理せず,各項が意味を持つように配慮しています。ですから,伝達関数の各項を単独で計算した結果が,それぞれが物理的意味を持つわけです。
ここで得た伝達関数は,「一般式」と表現できる基礎的な計算式であり,本書の中でたびたび用いる実用的な計算式でもあります。また,計算結果と実測結果が一致することを示します。本ホームページの計算結果と実測結果は,その結果だけを示したものです。

言葉による説明を多用していますから,本書で扱わない回路にも応用しやすいと思います。

そのほかの独自情報
  • オペアンプの基準電位の定義と,その理由
  • 誤差の加法性と,その検証

第2章 Nullループの基礎

Nullループの動作メカニズム

Nullループは,オペアンプの静特性測定回路です。様々な誤差要因を気にすることなく,一様に高精度な測定結果が得られることが特長です。
本書では,このNullループで次のスペック項目を測定しています。

  • 入力オフセット電圧
  • オープンループ・ゲイン
  • CMRR
  • PSRR
  • 入力バイアス電流
  • 入力オフセット電流
  • 入力抵抗
  • DC出力抵抗
このように,1台のNullループで様々な特性が測定できます。
更に,スイープ測定もでき,特性を視覚的に・連続的に把握できます。
もちろん,これら測定結果を応用回路の誤差計算に応用しても,計算結果と実測結果は一致します。

本章では,これらの特長を持つNullループの動作原理を解説しています。


第3章 入力オフセット電圧

熱起電力起因の微小電圧測定誤差と,その対処テクニック

これは,「オペアンプ回路のデバッグ」とも言える測定で必要となるテクニックです。
「誤差電圧は計算どおりか?」などの検証では,マイクロボルト・オーダーの測定が必要です。そうした領域では,熱起電力抜きで高精度な測定結果は望めません。「どんな場合に熱起電力が問題になるのか?」や,「どうすれば対処できるのか?」などを解説しています。


第4章 長期ドリフト

スペックの問題点

長期ドリフトには,スペックの規定の仕方に問題を抱えた方法があります。この問題を知っておくことは,スペックの数値を読む場合に必要です。


第5章 温度ドリフト

高精度オペアンプが,高精度を実現できる理由

オペアンプには,「高精度オペアンプ」と呼ばれる高精度向きのオペアンプがあります。高精度オペアンプは,優れた電気的性能が魅力ですが,同時に価格も高めです。しかし,高精度オペアンプを使うことでトータルで安価に仕上がる場合もあります。
ここでは「なぜ高精度オペアンプが,高精度を実現できているのか?」を簡単に解説しています。「高精度用にするか,一般用にするか?」の使い分けの判断に活用できます。


第6章 オープンループ・ゲイン

「オープンループ・ゲイン=電圧増幅度」に,こだわらないほうがよい理由

大抵の書籍では,「オープンループ・ゲインは,電圧増幅度のことである」のような解説がされています。ウソではないのですが,現実のオペアンプはそれほど単純ではありません。実例を示して,より実際的な考え方を解説しています。

そのほかの独自情報
  • スイープ測定で発生する問題と,その計算法と対処法
  • 反転・非反転増幅器のオープンループ・ゲイン起因の差動入力電圧計算法
  • β-1の考え方
  • 負のオープンループ・ゲイン特性

第7章 CMRR

等価変換

応用回路の動作条件に,スペック項目を適用するための数値的な変換のことです。応用回路の動作条件が,スペック上の動作条件と異なる場合に使います。等価変換を行わずにスペックを適用しようとすると,複雑怪奇な計算に陥る場合があります。それを機械的に・スッキリと計算するための方法です。


第8章 PSRR

直流スペック項目を全て含めた反転・非反転増幅器の出力電圧計算法

反転・非反転増幅器のような応用回路では,直流スペック項目の全てが誤差要因になります。この誤差を含めた出力電圧の計算方法を示します。もちろん,計算結果が実測結果と一致することも示します。こちらの計算結果と実測結果の比較は,全てのスペック項目を計算に取り込んだ結果です。

そのほかの独自情報
  • PSRR測定の電源電圧の変化方法と合理性
  • 電源電圧変化に対する他スペックへの影響と計算方法
  • 非対称な電源電圧変化に対する誤差計算法とメカニズム

第9章 入力バイアス電流

最大入力バイアス電流の計算法

入力バイアス電流のスペックから,反転または非反転入力端子に通じる入力バイアス電流は,入力バイアス電流の最大値を超えて流れる可能性があります。その理由と,計算方法を解説しています。

そのほかの独自情報
  • 微小入力バイアス電流の測定・低リーク電流の実現テクニック
  • 容量性結合による雑音発生メカニズムと,その対処テクニック
  • 入力バイアス電流測定のセンス抵抗器と,その熱雑音電圧の性質
  • 分圧器使用時の入力バイアス電流起因の誤差計算法

第10章 入力オフセット電流

この章に,独自情報はありません。独自情報は,"第9章 入力バイアス電流"に含めています。


第11章 入力抵抗

非反転増幅器の入力抵抗計算法

非反転増幅器の用途には,高い入力抵抗が期待される場合があります。オペアンプの入力抵抗と,帰還回路の部品定数から非反転増幅器の入力抵抗を算出できる計算式を示します。また,計算結果が実測結果と一致することを示します。

そのほかの独自情報
  • 差動入力抵抗と同相入力抵抗の使い分け
  • 入力抵抗の直線性
  • 差動入力抵抗と非直線性
  • 入力抵抗の温度依存性
  • 差動・同相入力抵抗と,入力バイアス・オフセット電流の関係
  • 負の差動入力抵抗
  • 差動入力抵抗の交流特性

第12章 Nullループの製作

Nullループの実用回路

Nullループは,多少回路が複雑であることと,「Nullループの発振」が存在し得ることから敬遠されがちです。本書では,「幅広いオペアンプに,無調整で使える(発振しない)Nullループの実用回路」を示しています。万一,不安定な被測定オペアンプが存在した場合でも,安定化のための部品定数の調整要領を示しています。
本書で示すNullループは,いくつかの問題への改良を施したもので,使いやすい回路に仕上がっています。使用部品も,入手性が良いものばかりを使っています。受け入れ検査装置などで,必要な回路部分だけを使っても良いでしょう。

そのほかの独自情報
  • Nullループを推奨する理由
  • メカニカル・リレー使用時の問題点と,その対処
  • Nullループの安定性の考え方
  • グランドループの対処テクニック
  • 性能の良い単品基板の製作方法

第13章 電源電流

電源デカップリング起因の不具合事例と,その原因と対処

電源デカップリングの悪い回路で発生させた不具合症状を例に取り,不具合のメカニズムと電源デカップリングで注意すべき点や対策を解説します。また,品質保証面からの視点で生じる問題点も解説します。

そのほかの独自情報
  • 電源電流の測定条件と,その背景にある理由
  • 高速オペアンプの電源電流測定法

第14章 No AC Feedback回路の基礎

No AC Feedback回路での測定

「No AC Feedback回路」は,既存の用語が見当たらなく作ったものです。この回路を使った基本的なオペアンプの交流特性測定法を解説しています。様々なオペアンプの交流特性が測定できます。


第15章 スルーレート

SRvの定義

「SRv」は,既存の用語が見当たらなく作ったものです。SRvは,「オペアンプの交流動作の根幹に位置するパラメーター」と言って差し支えないと思います。SRvを定義すると,オペアンプの交流パラメーターが(数学的にも)互いに結びつくものです。またSRv単独で,いくつかの応用計算ができます。こうした応用計算結果と実測結果が一致することを示します。

そのほかの独自情報
  • スルーレート測定と,測定器への要求事項
  • SRvと,その測定法
  • SRvの発生メカニズム
  • 忠実性の高い交流信号増幅に必要な条件
  • SRv起因誤差の計算法
  • 小振幅方形波入力時の応答と,その計算法

第16章 GB積

反転・非反転増幅器・交流動作のメカニズム

オペアンプの交流動作は,直流動作の延長線上にありません。その交流動作のメカニズムがイメージできるような解説をしています。

そのほかの独自情報
  • 非反転増幅器・交流シグナルゲイン・位相特性の簡易計算法
  • 反転増幅器・交流シグナルゲイン・位相特性の簡易計算法
  • 非反転増幅器・帰還回路にコンデンサを含む交流シグナルゲイン・位相特性の高精度計算法
  • 反転増幅器・帰還回路にコンデンサを含む交流シグナルゲイン・位相特性の高精度計算法
  • 反転・非反転増幅器・周波数特性上の性質
  • 負のオープンループ・ゲイン・交流領域における振舞い

第17章 ユニティーゲイン帯域幅

反転・非反転増幅器・ユニティーゲイン周波数付近の伝達特性

一般に反転・非反転増幅器は,ユニティーゲイン周波数に近づくとピーキングなどシグナルゲインのズレが目立つようになります。この領域で,アプリケーション回路の性能を管理する方法と計算法を示します。

そのほかの独自情報
  • 外部位相補償コンデンサの利点
  • 温度特性に関する注意
  • ユニティーゲイン周波数付近の交流シグナルゲイン・位相特性の計算法
  • ユニティーゲイン周波数付近の特性管理方法

第18章 出力抵抗

5つの意外な発振モード

出力抵抗は,静電容量負荷との組み合わせによる位相回転で発振することが一般に解説されています。
本書では,このメカニズムと異なるメカニズムによる発振モードを5例示しています。例えば,「大きな静電容量負荷であれば,高域でのゲインが減少するから発振に至らない」と考える人は多いと思います。しかし,ループのゲインや位相とは無関係な発振モードが存在するのです。このような発振モードを示しています。

そのほかの独自情報
  • AC出力抵抗の発生メカニズム
  • DC出力抵抗の発生メカニズム
  • DC出力抵抗の問題点
  • gmの提案
  • AC/DC出力抵抗の測定法
  • DCクローズド・ループ出力抵抗(DCロードレギュレーション)の計算法
  • ACクローズド・ループ出力インピーダンス(ACロードレギュレーション)の計算法
  • 高域周波数で低減する駆動能力のメカニズム
  • ACクローズド・ループ出力インピーダンス|Z|・θの周波数特性
  • 出力電圧振幅・位相の負荷依存性の計算法
  • 低インピーダンス負荷の周波数特性改善法のメカニズムと,計算による特性評価
  • 出力抵抗と静電容量負荷の組み合わせによる発振と,その計算法

第19章 VCCSの製作

VCCSの効果的な測定への応用

測定アプリケーションによっては,VCCS無しでは測定が困難になる場合があります。このような測定アプリケーションを解説しています。


第20章 No AC Feedback回路の製作

No AC Feedback回路の簡易調整法

No AC Feedback回路は負帰還回路ですから,安定性の議論は不可避です。被測定オペアンプのパラメーターが正確にわかっていれば,理論的な解析も可能です。しかし,事前に分かっていないのが普通で,"手探り"で定数を決定することになります。その方法を示しています。

そのほかの独自情報
  • 発振の対処法
  • 定数設定の勘所
  • 帰還回路部品の変更に対する伝達特性の変化
  • No AC Feedback回路・伝達関数の計算法
  • No AC Feedback回路・雑音低減法
  • No AC Feedback回路・AC入力バイアス電流測定の2つの問題点

第21章 等価入力雑音電圧

帰還コンデンサの有無を含めた反転・非反転増幅器の雑音出力電圧の計算法

この計算には,オペアンプと帰還回路などの抵抗器が発生する雑音に加えて,コンデンサとオペアンプの周波数特性による雑音低減効果を合算して,出力雑音電圧を計算します。こちらのMで,計算結果と実測結果の比較がご覧いただけます。

そのほかの独自情報
  • ポップコーン雑音への対処
  • aV√ENBWの定義
  • 白色雑音測定
  • 1/f雑音測定
  • 雑音測定にあたっての注意
  • 並列コンデンサを取り付けた抵抗器の熱雑音電圧の計算法
  • ノイズゲインと雑音電圧の関係
  • 任意のしきい値を超える雑音電圧の発生確率の計算法

第22章 等価入力雑音電流

等価入力雑音電流の測定法

第21章の等価入力雑音電圧の測定もそうですが,これら測定回路設計のための計算は「低雑音回路設計」に通じます。なぜならオペアンプが発生する雑音以外の雑音が無視できるように,周辺部品定数を決定する必要があるからです。雑音計算はオペアンプ関係書籍であまり論じられていませんが,「オペアンプの雑音計算が,どのようなものか?」が理解できると思います。

そのほかの独自情報
  • 等価入力雑音電流測定の注意点
  • 等価入力雑音電流の実測事例と,ショット雑音の相関

第23章 雑音測定器の設計・製作

雑音測定器の実用回路図

雑音測定器としては,市販のFFTアナライザーなどが利用できます。頻繁に使う機会でもなければ,高価過ぎる測定器かも知れません。ここで示す雑音測定器はアナログ回路のそれであり,雑音測定だけに特化したシンプルな測定器です。雑音測定が,より身近になります。

そのほかの独自情報
  • 低雑音プリアンプの設計
  • HPF等価雑音帯域幅の計算法
  • BPF等価雑音帯域幅の計算法
  • BPFの設計法
  • BPF等価雑音帯域幅の測定法
  • LPF等価雑音帯域幅の計算法
  • LPF設計法
  • LPF等価雑音帯域幅の測定法
  • 分圧器の設計法

第24章 絶対最大定格

電気的オーバーストレス破壊原因1

オペアンプは,装置の入出力に配置されることが多いために,外界の環境にさらされます。このことから,意図せず絶対最大定格を超えた電気エネルギー(電気的オーバーストレス)が加わり,破壊に至ることが少なくありません。
本書では,日常的な電気的環境の中で発生しやすい電気的オーバーストレスのメカニズムを解説しています。もちろん,対策も含めています。

そのほかの独自情報
  • 電気的オーバーストレス破壊原因2
  • 電気的オーバーストレス破壊の検査法

第25章 V-Iトレーサーの製作

この章に,独自情報はありません。


第26章 クイック・デザインマニュアル

この章に,独自情報はありません。

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