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うん哥が武大兄ちゃんの為に
本気で泣いてくれたのは感動だった。 |
帰ってきた武松の顔を見て、
うん哥は一目散に逃げていく。
みんな顔をそむける。
「何があったんだ?」

「かかわりあいになりたくなかった…」
気の毒としか言い様のないご近所さんたち。
武二はもう最初からテーブルの上に刀置いてるし。
「見て見ぬ振りしていた私たちも悪かったよ・・・
悪かったけど・・・そんなに悪かったか〜・・・?ι」

仇討ちの後、兄の服や身の回りの物を燃やしていた武松。
彼の心中をおもんぱかると、さみしさもひとしお・・・

しかしこいつは火に何かくべる
というのがヘタだ。
そんなになんでもかんでも積み上げるな、後ろに転げたカゴ燃えてるぞ。住宅街でやってんだから、
延焼させんなよーυ

兄の祭壇に二人の首を供えたあと、
県へ出頭するために家を出た武松。
家のカギをじっと見つめ、投げ捨てる。

孟州に護送されていく武松を城外で待っていた軍哥。その頭には白い布が巻かれている。武松の処分が決まる間に病気の父を亡くし、天涯孤独の身の上になっていたのだ。
「また、ここに戻ってくるよね?」
「・・・・・・・・・」
武松は軍哥の問いに答えず歩き出す。
その後ろ姿が小さくなるまで、軍哥は涙をためてずっと見送っていた。 |
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