第十九話 獅子楼
武大は病の床で武松が出張から帰る日を待っている。義弟の武勇に怖れをなした潘金蓮は王婆に吹き込まれ、西門慶から渡された毒薬で武大を毒殺する。出張から帰ってきた武松は兄の市死を知り慟哭する。法要にかこつけて金蓮と王婆に一連の顛末を白状させた武松は金蓮を殺し、そのまま西門慶のいる獅子楼へ赴き、西門慶を殺し、兄の仇を討って自首して出る。
うん哥が武大兄ちゃんの為に
本気で泣いてくれたのは感動だった。

帰ってきた武松の顔を見て、
うん哥は一目散に逃げていく。
みんな顔をそむける。
「何があったんだ?」

「かかわりあいになりたくなかった…」
気の毒としか言い様のないご近所さんたち。
武二はもう最初からテーブルの上に刀置いてるし。
「見て見ぬ振りしていた私たちも悪かったよ・・・
悪かったけど・・・そんなに悪かったか〜・・・?ι」






仇討ちの後、兄の服や身の回りの物を燃やしていた武松。
彼の心中をおもんぱかると、さみしさもひとしお・・・






しかしこいつは火に何かくべる
というのがヘタだ。
そんなになんでもかんでも積み上げるな、後ろに転げたカゴ燃えてるぞ。住宅街でやってんだから、
延焼させんなよーυ

兄の祭壇に二人の首を供えたあと、
県へ出頭するために家を出た武松。
家のカギをじっと見つめ、投げ捨てる。


孟州に護送されていく武松を城外で待っていた軍哥。その頭には白い布が巻かれている。武松の処分が決まる間に病気の父を亡くし、天涯孤独の身の上になっていたのだ。
「また、ここに戻ってくるよね?」
「・・・・・・・・・」
武松は軍哥の問いに答えず歩き出す。
その後ろ姿が小さくなるまで、軍哥は涙をためてずっと見送っていた。
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