第三十三話 元夜閙東京
武松や阮家三雄らとは異なり、招安を待ち望んでいる宋江は、元宵節に乗じて東京に行き、李師々のツテから皇帝に目通りしようとする。一方、玉座に座ろうとし、禁裏に侵入した張順と時遷は、山東宋江の御筆を盗み出した。宋江が技楼へ行ったことを知った李逵は、板斧を振り回して暴れだし、大勢の見物人は大混乱。東京門外で待ち受けていた泊軍も外から呼応して・・・・・・。
安道全の整形美容術によって金印を消した宋江。かなり嬉しそう。
そこにいつものように李逵が乱入。
「なんだ、兄貴病気だったのかよ。何で俺に行ってくれないんだ?」
「李逵、宋大兄の顔を見てごらん」
「気づくったって・・・・・・、俺と同じ黒い顔じゃねぇか」
「もっとじっくり見てごらん」
「ん・・・・・・?」
食い入るように宋江の顔を見る李逵。照れくさそうな宋江。
「あ〜っ!! 金印がない〜っ!!」
李逵は側にいた安道全に詰め寄る。
「きっ、きさまぁ〜!! なんて事しやがんだ!
あんなにかっこよかったから、俺もそのうち真似しようと思ってたのにィ〜っ!!」
李逵のカッコ良さの基準からいくと、二つの金印を持っている武松は
山塞一の良い男ということになる・・・・・・?

全身虎皮っつー柴進の趣味におどろく(笑)
解さんかと思っちゃったよ。
しかし、李逵の無邪気な言葉に盧俊義はあからさまに嫌な顔をしたりするので、やっぱり梁山泊の大将は宋江でないとおさまらんなと思ったりもする。

初めて会ってからまだそんなに経ってないのに、えらく李逵の扱いが上手な燕青
忠義堂に来た魯智深が、
「なんだか李逵が叫んでいたようだが・・・・・・?」
というので、様子を見に行った燕青。
「なにむくれてるんだ李逵?」
「だって、宋江の兄貴に入墨があるから仲間だって思えるんじゃないか。
入墨のない兄貴なんて・・・・・・」 そうなのか李逵?!
「宋大兄はね、もうすぐ東京の燈篭見物に行くつもりなんだ。
顔に金印があったら東京に行けないだろう。」
「え・・・・・・?」たちまち李逵の顔色が変わる。
「東京見物? いいなー、俺まだ一度も東京行った事ないんだ!」
「でも、李逵はさっき宋大兄を怒らせちゃったからなぁ・・・・・・」
「なぁ小乙。宋江の兄貴に俺も東京に連れてってくれるよう頼んでくれ。
行きたい、行きたい! だったら俺が小乙に勝ったら頼んでくれる?」
白打に絶対的自信を持っている燕青に対し、真正面から挑戦する李逵の策は、話をそらす等して燕青を逃げられなくしているので良い戦法だぞ。
燕青と李逵が武を競っていると、阮氏三雄が供物を持って歩いてくる。
「きっと、晁蓋殿のお墓に行くんだよ。鉄牛も行ってみる?」
供物を墓前に供え、阮小二は
「晁天王、晁天王が亡くなってから我々は宋公明の兄貴を頭に頂き、一致団結して今までやってきました。晁天王、安心して・・・・・・」
云々とやたらお祈りの言葉を捧げる。
弟達は墓前に目を据えてそれにじっと聞入っているが、彼らの心理の思いを露知らず、李逵は鬱陶しがって、
「晁大兄、俺達は元気でやっています。今日は大晦日だ。鉄牛も飲むし食べる、だから晁大兄も飲んでくれ」
と、言って叩頭の礼もせず杯を干そうとする。
他の皆の様子を見て、ちゃんと平伏したけどね。
田舎のおじいちゃんに電話してる
子供みたいv

大晦日の忠義堂。宴もたけなわ、司会の柴進が叫ぶ。
「それでは楽和さんに歌っていただきましょう〜!」
万来の拍手に送られて楽和登場。
ところで楽和、君いつ梁山に登ったの?
楽和の出演はこれっきりだった。
楽和はたぶん、朱武と同じ役者さん。
別に二役でも構わないけど、衣装くらい替えてほしかった・・・・・・。


「ロックなんて聞いちゃいけません!」
と言って子供にも演歌を聞かせる
お父さんみたいですね(笑)

宋江の招安の言葉に
納得できない武松。

まあヒドイ目にあったからね、
君は色々と・・・・・・

「兄貴が入墨を消して罪人じゃなくなったと
言うんなら・・・俺はまだ罪人だよ。」

李逵が何かに引きつけられるように歩いて行く姿を見つけた
白勝は、
「黒い兄さん、どこへいく?」
と、声をかける。李逵はつっけんどんに
「ちょっと小用・・・・・・。」とだけ答える。
白勝は李逵の向かっていった道から察して、上目使いに聞く。
「ははぁ〜ん、あの李二の店に行って酒を飲む気だな〜。」
「放っとけ!!」
図星を指されて開き直った李逵は、白勝を突き飛ばして
店の中に入っていく。
後に残された白勝はしばらくして立ち上がると、
「李逵が飲むんだったら、俺だって飲むんだもんね!」
といって後に続く。
宋江と燕青は李師を
通じて、徽宗に目通り
するチャンスを狙う
・・・筈で御香楼に行ったんだけど、いきなり
初対面の挨拶で
「私は梁山泊の宋江」
と名乗っちゃう。
正直といえば正直
だけど、あまりに
無策な宋江。





都の華やかな元宵節の祭りを見て、李逵はこんなすごいの見た事がないといって大喜び。
「おっかあにも見せてやりてぇな」
「おふくろさんは死んじまって、もういないじゃないかよ」と、回り灯篭の仕掛けの担当をしていた白勝は、李逵の頭上から茶々を入れる。
けど・・・・・・かなり残酷な台詞だ。

ちなみにこの
回り灯篭を設計したのも
朱武らしい。呉用はこういう事絶対
やらないので雑用大忙しです(笑)




東京の元宵見物。時遷が張順に囁く。
「皇帝の椅子に座ってみたくない?」
張順は最初、この大それた提案を、禁裏の警備のものものしさを理由に反対する。
「だけど、皇帝はあそこで燈篭見物してるから大丈夫だよ。」
この日、禁裏に侵入するには花簪が必要だったが、時遷のスリテクでこれがすぐ整えられると、張順もいたずら心が動く。
時遷と張順は難なく禁裏に侵入、しかし禁裏は広く、玉座にある紫宸殿の場所がわからない。
時遷は試みに一つの部屋に忍び込む事に。張順は
「おい、時遷。俺も玉座に座るってことを忘れるな!」と、ひそひそ声をかける。
しかし時遷が忍び込んだのは紫宸殿ではなく、書斎だった。時遷は屏風の裏に書かれていた御筆による四大寇姓を見つけ、「山東宋江」の文字を切り取って盗んでいく。
したたかに飲んだ李逵がふらふらと柴進と李俊の待つ指定の場所に戻ってくると、呉用の指示によって山塞から派遣されてきた史進と童兄弟もその場に現れた。
史進、第二回目以来に久々の登場。最初見たときはこれが史進とは気付かなかった。だからわしらは王進先生と延安府で幸せに云々とか迷子の憶測をしていたのだが・・・・・・。
やっぱり自力で落ちてきてましたネッ!
まさかこんな所でワンカットだけ出番があるとは思わなかった。多分史進は花英と同じ役者だと思う。そうか!!花英の出番がある分、史進は削られたのか・・・・・・!
いや、あれはやっぱり史進の役者さんだったよ。
花英より目が細くて切れ長だった。輪郭も違うし。
花英は目が大きくて印象的だから、モブでもわかっちゃう。
「あれ〜、宋江の兄貴は〜?」
「御香楼に行った」と、淡々と答える柴進。
「御香楼〜?」
李逵には楼閣の名前だけでは意味がわからない。李俊は飲みかけていた杯を止めて
「技楼だ。」と言い捨てる。
「はッ! 俺達に燈篭見物させといて、自分はそんな所に行ってやがったのか〜!!」
酔いも手伝い、キレる李逵。 
あんた燈篭見物しに来たんだろうがよ?
「馬鹿、それも仕事なんだ」と、柴進が諭しても、李逵は食ってかかる。
「女遊びのどこが大事な仕事なんだ!?」
「鉄牛、みだりに騒いで邪魔をしてはダメだ! 鉄牛!!」
柴進は李逵を抱え込んで静止するが、非力な柴進ごときに李逵を抑えられるわけがない。乱暴に柴進を振り飛ばし、李逵は板斧を持って飛び出していってしまう。振り飛ばされた柴進は、他の皆がただ手を拱いて立っているだけなのを見て叫ぶ。
「何をしているんだ!? 鉄牛を追わぬか!!」
「宋江の兄貴が行ったのは技楼だぜ。李逵が騒がすに任せときゃいい。」
皆どうして宋江が女遊びするのがそんなに嫌なのだ。ジェラシー?(怖ええこと言うな)
宋江の計画を知らされていない李俊はすげない返事をして寄越す。柴進もついにキレ、
「愚図愚図するな! 御香楼だ!!」
と言い、朴刀を持って飛び出していったため、つられて出て行く一同。
あれでは日頃怒鳴らない柴進の見幕に恐れをなしたと考えてしまう一幕だった。
李逵が板斧を持って御香楼に乱入しようとすると、護衛役として門前で控えていた阮氏三雄が制止する。しかし・・・・・・
この三人、宋江が御香楼に来た本当の事情を知ったら、李逵といっしょに大暴れしていただろうな。女買いぐらいでは怒らないところが李逵と違い「オトナ」の阮氏三雄なのだ。

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