第三十四話 燕青打擂
燕青は高イ求の罠が貼られていると知りつつ、泰山の武術大会に行くこととなったが、李逵も掟を破りこっそり付いて来る。武術大会でまず任原と対戦したのは、燕青たちが昨夜宿屋で同宿となった兄弟。実は方臘靡下のほう万春と男装の妹秋霞。台上で燕青が任原を打ち負かすと、李逵とほう万春兄妹と共に台下で暴れ遁走を図る。こうして泰山を騒がせた四人は袂を別った。
東京を騒がせた後、梁山泊では規律の強化が行なわれた。そのお触れに曰く、
『酒によって暴れたものは死罪』
「え?! だったら、酒を飲んじゃいけないのかよ?」
李逵は思わず聞き返す。それを宋江は聞き留めて
「明日から三日間、お前は禁酒だ。」と李逵を戒める。お触れは続く。
『皆と賭博をするものは死罪。
勝手に下山したものは死罪。
馬を粗末に扱うものは死罪。     死罪しか知らんのか
馬具の不整備なものは死罪。     宋江・・・・・・ι 
武器の不携帯なものは死罪。
船のみず漏りをさせれば死罪。
妄りに魚を取るものは死罪。
勝手に水泳をするものは死罪。
兵糧を粗末に扱うものは死罪。
酒肉を盗食するものは死罪・・・・・・。』
土方歳三も真っ青の梁山泊の掟だ。



梁山泊は日頃から練武が行なわれている。三日間の禁酒を言いつかっている李逵はたまらず、訓練の途中、小瓶に入れた酒を盗み飲むが、宋江の目に留まってしまう。
李逵はあわてて酒瓶を地面において熱心に訓練をしている振りをする。宋江はだまってその瓶を蹴り捨てた。



泰山岳廟で行なわれる武術大会。前回優勝者の任原は意気軒昂。
  『拳で山東の悪虎を打ち、
  足で江南の凶蛟を蹴る』
という幟をたてるほど。実はコレ、高イ求の腹心の立てた計画。彼らをおびき寄せて一網打尽にしてしまおうというのだ。
朱貴の部下は泰安州を既に偵察済みだが、別に異常はないと告げるが、呉用は陰謀の臭いを嗅ぎつける。放っときゃいいのに行くんだよな。何てったって面子が立たないから。面子をやたら大切にする、そこら辺がやっぱりこいつら中国人だよね。
扱い慣れてる七ちゃんv
ようやく約束の三日が過ぎ、晴れて酒を飲めるようになった李逵は酒瓶を手に宋江の元に参上。そこへ燕青が呼ばれて入ってくる。燕青は泰山岳廟で行なわれる武術大会で梁山泊の名を知らしめるために呼ばれたのだ。それを聞き付けた李逵は自分も連れて行ってくれと駄々をこねる。結果、身柄を拘束される事に。李逵の見張りは阮氏三雄。食べ物を運んできた阮小七に李逵は
「小七、おまえもつれない奴だよな」と愚痴を言う。
阮小七は例のお触れを持ち出して、勝手に下山するものは死罪だと李逵を諭すが、李逵は聞く耳を持たず。阮氏三雄のいない隙を突いて脱走を企てる李逵。しかし、小屋の扉は鎖で閉ざしてある。が・・・・・・。李逵にかかれば鍵なんて無用の長物。といっても時遷の業を使ったワケではない。李逵は小屋を破壊して遁走した。
何でも燕青の言うことを聞くということで何とか泰安に連れて行ってもらえることになった李逵。商人に化けた燕青の帯には御香楼から盗んできた李師師の短簫が挟んであるぞ。チェーック!!
泰安の宿屋の空き部屋はひとつしかなく、燕青と李逵は徐州から来た薬売りと従者の二人連れと相部屋することとなった。
実はこの二人、方臘靡下のほう万春と妹の秋霞。山東の悪虎、江南の凶蛟と、ののしられた賊がのこのこ参戦するとは・・・・・・。高イ求の側近が立てたこの計画、結構イイ線突いてる。
任原とまず対峙したのはほう秋霞。だが、任原の方にかなり有利に戦いは進む。途中で男装がばれ、任原にいい様にあしらわれるとほう万春と交代。任原が誰何すると
「江南の九天飛龍ほう万春」と、高らかに名乗ってしまうほう万春。
見物人席に下りたほう秋霞に向かって李逵は、
「何だ〜、おまえら江南から来たのか。実は俺達も梁山泊から来たんだ。こっちが浪子燕青で、俺は黒・・・・・・」
「おい、おしゃべりが過ぎるぞ」
李逵の名乗りは他人の目を気にした燕青によって塞がれてしまった。
一方、試合場。戦いはほう万春の優勢で進むが、人間は暗器を使い、ほう万春を痛めつける。倒れこむほう万春。たまらず台上に飛び出していく燕青。
こうなったらもう説明は不要だろう。任原が燕青に投げられると、、裏に潜んでいた官兵も出てきて泰山岳廟は大騒ぎ。四人も応戦しながら血路を開き、馬を奪って逃走していく。
泰安城外の別れ道でそれぞれ
「宋江(方臘)の許に来る気はないか?」
と言い合う李逵とほう万春。燕青はお互い仕える先は違っていても同じ仲間さと言って、言い争いを止める。また会うこともあるだろうと四人は袂を別つのだった。

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