第三十五話 李逵座堂
遠征は李逵が勝手に下山したのを詫びるため、寿張県のとある宿屋に李逵を待たせ、梁山へ先に帰った。李逵は燕青の帰りをじっと待っていられず、県城に乱入し、迷裁判を繰り広げる。そこに宋江と柴進が娘を攫ったという訴えをする老人が出現、怒った李逵は梁山泊に飛んで戻り、宋江と柴進に詰め寄ったが、これは別人だった。罪に服し、斬首を宣告される李逵だったが・・・・・・。

燕青は馬上で例の短簫を吹きながら呑気なもの。だが、李逵は
「うるさいから吹くのやめてくれ」
と言い、煩そうに耳をふさぐ。
「まったく、鉄牛は音楽が分らないからな。」
というものの、燕青は簫を吹くのを止めようとしない。仕舞いには怒り出す李逵。悩みごとがあって、傍でぴいぴいやられると考えが纏まらなくなるから止めてくれというのだ。李逵は馬の轡を取ってずっと歩いていたから、馬に乗りたくて拗ねているのかと燕青は思ったが、李逵の心配の種というのは、宋江の命令違反を犯して下山していたため、死罪にされる事を怖れていたのだ。燕青は一足先に梁山に帰って、宋江らに取り成してやると約束する。その間李逵は寿張県の宿屋で一人燕青の戻りを待つことに。

代書屋の親父から寿張県の県令は無能と聞かされた李逵は、役所の前で一人の老婆が門衛に追い返されているのを目撃する。老婆は養子をもらったのだが、結婚してから生父母の所に帰り顧みてもらえない窮状を訴えに来たのだ。李逵は老母の手を引き、県役所に入り込む。県令を引っ張り出し、それを糺すと、その養子が県令の叔父の子とわかり李逵は大激怒。県令の官服を脱がせ、李逵自身が着込み、かくて李逵の裁判が始まった。養子を引っ張り出し、したたか棒で打ち据えたものの、養母である老婆が養子を取り成したため、籠代を県令に出させ家に帰らせる。老婆と養子は何度もお辞儀をしながら帰っていった。






笛を吹くと耳を
ふさいじゃう李逵v
あっ! エンマ様だ!!
ただかわいいと思ってたけど、
結構深刻な話してたんですね
喧嘩の裁判は罵られたから殴ったという被告に
「だったら俺も殴れるか? 殴れないんだったらそんな喧嘩するな!」
と一喝し、すぐに落着。
次の裁判は、双方が自分の所有を主張した財布の一件。中身も十五元と双方とも一致しているので頭を描く李逵。しかし片方は酢を商っているということから、財布に匂いが残っており、窃盗犯が分った。
すっごいや、やるじゃん李逵!
次の一件。一癖ありそうな親父が登場。だが、この親父はこの一件は李逵に裁けないと最初から言い放つ。なぜならば梁山泊の宋江と柴進が娘を誘拐したというのだ。怒りまくる李逵。

李逵は自分の脱走がまだ許されていないというのに、我を忘れて梁山泊に乗り込み、宋江と柴進に詰め寄る。宋江は李逵にもし自分が誘拐していなかったら、ちゃんと罪に服すと言う言質をとり、柴進と共に寿張県へ。果たして人違いと分り、李逵はがっくり頭を垂れる。
飲酒、命令不服従、脱走、今回の県で斬首の処分を言い渡される李逵。処刑当日、李逵が首切り台で頭を従容と垂れていた所に、一群れの人々が突如現れ、宋江らに李逵の処刑取り消しをこいねがう。この人々は、良い裁判を行なってくれた李逵にお礼を述べに来た寿張県民だった。宋江はこれに免じて李逵の罪を許した。
ところで誰か
さらわれた娘さんを
助けたんだろうか?

小説では李逵が許してもらうかわりに助けて来るんだが、今回はそうはならなかったので。
宋江が李逵を許さなかったのは、これから後の伏線でもあったよね。理に縛られて柔軟性がないという。
でもただ単に、李逵があんまりあっさり「じゃあイイや。死ぬよ」と言ってしまったので、許すタイミングを逃しちゃっただけかもしれないけど。
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