今更だが、武松は行者姿になってからは、戒刀を両手に持ってくるくる旋回しながら敵を斬る。
なんだか却って弱く見えるような。
素手のゲンコツの方が絶対痛いよ。根っから武闘家なんだなこいつは・・・ |
序戦の蘇州城攻防戦は激戦の結果、守将の方貌が逃亡、泊軍に軍配が上がった。しかし、泊軍の被害も甚大だった。二十名余の義兄弟の命は失われ、また楊志も片足を斬られ、戦線を離脱する事になった。
続く杭州戦に先んじて宋江は方臘の招安を考えるが、招安の大事は朝廷自らが考慮する事と呉用と盧俊義の反対にあう。ならば私的に会見を行ない、帰順を薦めたいという宋江。このため、ほう万春兄妹面識のある燕青と李逵が使者となり、ほう万春を会して方臘に会見を申し込むことになった。 |
 めでたくもない戦勝の夜。
蕭々と流れてくる笛の音。
精神的にも肉体的にも疲れ果て、みんな黙りこくって座り込んでいる。
枯れ果てた心に笛の音が染み込む・・・・・・ |
ほう万春は慇懃に燕青と李逵を迎えたが、ほう秋霞の態度は露骨だった。李逵が椅子に腰掛けようとした所で足を引っ掛けて転ばせ、尻餅をつかせてせせら笑った。李逵は
「おいおい、黒い兄さんを忘れちゃったのかよ?」と秋霞に向かって言うが、秋霞は
「兄弟同士で刃を交えるなんて、どういうことよ?」と厳しい口調で李逵に詰め寄る。
兄の一喝で大人しくなったところで、燕青はほう万春に宋江が会見を望んでいることを持ち出す。ほう万春は会見は難しいと返事をするが、その場に現れた方臘はその話を聞き、
「自分も宋江に会ってみたいと思っていた。」と言い、周囲を驚かせた。
かくて翌日、湧金門で宋江と方臘の会見が行なわれることとなった。 |
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梁山泊でもかなりもめた帰順を敵に薦めるのは難しいと初めからわかっていたようなものだった。方臘は方臘で、姦臣はびこる大宋帝国に見切りをつけ、一緒に楽しくやろうぜと宋江に薦める。しかし方臘は僭称皇帝だから熱烈皇帝ファンの宋江にこれが許せる筈がない。話の妥協点をお互いに見出せないまま、会見は物別れに終わった。方臘は船首を転じ、湧金門を潜り杭州城内に戻っていった。 |