第四十話 征方臘
官軍となった泊軍は「毒をもって毒を制す」という姦臣らの企みで方臘征伐に行くこととなったが、魯智深は大相国寺に留まり仏門に帰し、蕭譲、楽和らは東京に留め置かれた。南征の途中、公孫勝も黙って一人軍を去っていく。蘇州戦で南軍に辛勝するものの、引替えに激戦がもたらしたものは泊軍の好漢たち二十余名の落命という、悲しいものだった。

南伐へ出発する前、燕青は御香楼へ行き、李師師に暇乞いをした。その際、李師師は燕青に一枚の文書を渡す。それは徽宗の親筆による燕青の御赦免状だった。李師師は義弟の燕青が南伐から帰る日まで毎日無事を神仏に祈願しているからと言って、神棚の前で線香を焚き、手を合わせる。燕青もそれに倣った。
↑ホントにやってくれたらパスポート延長して見に行くよ〜うv
もっともこの人はこれまで何も出番がなかったので、あまり感慨はなかったね(笑)
一方、魯智深は大相国寺ひ行きたいと宋江に願い出る。宋江は魯智深を一人で行かせず、江南を無事平定できるよう祈願もかねて呉用とともに三人で大相国寺に詣でる。
だが、魯智深の大相国寺行きの目的は参拝程度の一時的なものではなく、仏門に帰する恒久的なものだった。かつて五台山で智真長老は「この人は最後には深く仏門に帰依する」といって魯智深を庇っていたが、遂に現実のものとなったのである。
魯智深は大相国寺に残留し、宋江と呉用は二人だけで帰路につく。また、蕭譲、金大堅、楽和、皇甫端も京師に残されることとなり、108人が徐々に欠けていくことを嘆く宋江。そんな折、突風が吹いて陣中に掲げられていた宋江の帥字旗をなぎ倒した。
まるで何かを暗示するかのように・・・・・・。
結局魯智深は都で
寺に入ってしまう。

ヒゲも剃り落として、五台山にいた頃のように戻る。
けど、顔が違う。
あれからいろんなことがあった。
神妙さがせつない・・・・・・。

林冲の死んだ今となっては、
俗世に何の未練もないろっちーでしたι
かくて泊軍は張叔夜に従い、江南に進発したが、一人公孫勝は戦列から離れ、誰にも告げず羅真人の許へと旅立っていった。鬱々として愉しまぬ宋江。燕青は花英から習った弓で雁を射落としたが、宋江は一詩を吟じたのみで多くを語らなかった。
今更だが、武松は行者姿になってからは、戒刀を両手に持ってくるくる旋回しながら敵を斬る。
なんだか却って弱く見えるような。
素手のゲンコツの方が絶対痛いよ。根っから武闘家なんだなこいつは・・・
序戦の蘇州城攻防戦は激戦の結果、守将の方貌が逃亡、泊軍に軍配が上がった。しかし、泊軍の被害も甚大だった。二十名余の義兄弟の命は失われ、また楊志も片足を斬られ、戦線を離脱する事になった。
続く杭州戦に先んじて宋江は方臘の招安を考えるが、招安の大事は朝廷自らが考慮する事と呉用と盧俊義の反対にあう。ならば私的に会見を行ない、帰順を薦めたいという宋江。このため、ほう万春兄妹面識のある燕青と李逵が使者となり、ほう万春を会して方臘に会見を申し込むことになった。
めでたくもない戦勝の夜。
蕭々と流れてくる笛の音。

精神的にも肉体的にも疲れ果て、みんな黙りこくって座り込んでいる。
枯れ果てた心に笛の音が染み込む・・・・・・
ほう万春は慇懃に燕青と李逵を迎えたが、ほう秋霞の態度は露骨だった。李逵が椅子に腰掛けようとした所で足を引っ掛けて転ばせ、尻餅をつかせてせせら笑った。李逵は
「おいおい、黒い兄さんを忘れちゃったのかよ?」と秋霞に向かって言うが、秋霞は
「兄弟同士で刃を交えるなんて、どういうことよ?」と厳しい口調で李逵に詰め寄る。
兄の一喝で大人しくなったところで、燕青はほう万春に宋江が会見を望んでいることを持ち出す。ほう万春は会見は難しいと返事をするが、その場に現れた方臘はその話を聞き、
「自分も宋江に会ってみたいと思っていた。」と言い、周囲を驚かせた。
かくて翌日、湧金門で宋江と方臘の会見が行なわれることとなった。
梁山泊でもかなりもめた帰順を敵に薦めるのは難しいと初めからわかっていたようなものだった。方臘は方臘で、姦臣はびこる大宋帝国に見切りをつけ、一緒に楽しくやろうぜと宋江に薦める。しかし方臘は僭称皇帝だから熱烈皇帝ファンの宋江にこれが許せる筈がない。話の妥協点をお互いに見出せないまま、会見は物別れに終わった。方臘は船首を転じ、湧金門を潜り杭州城内に戻っていった。
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