中国:米生産13%アップの見通し、穀物生産退潮傾向は止まるか?

農業情報研究所

04.7.8

 中国農業部(農業省)が7日、国の早期収穫米の生産高は昨年を13%上回り、4,000万トンに達する見込みと発表した。収穫面積は昨年を533,000ha上回る見通しという(13% growth of early rice output forecast,Xinhuanet,7.7)。7年続いた米生産の減少が止まるかもしれない。

 これは小麦生産が昨年より250万トン(3%)増えるという先の予想に続くものだ。穀物生産面積全体では昨年を266,000haを上回る。今後数ヵ月の間に大規模自然災害に遭わないかぎり、今年は4年続きの穀物生産減少に歯止めがかかる最初の年になるという。

 昨年来、13億の人口を抱える中国の穀物生産の減少と穀物価格高騰、食糧安全保障をめぐる懸念は、中国指導者のみならず、世界全体の関心を呼んできた。中国の人口一人当たり水・農地資源量は世界の平均を大きく下回る上に、耕地は工業・都市・観光(ゴルフ場など)開発の急進展で縮小してきた。今年初め、中国は年間穀物生産45,500万トン、穀物生産面積1haの目標を設定した。昨年の穀物生産は設定された警告ラインの45,000万トンを下回る43,100万トンにまで落ち込んだ。このような国内穀物生産の減少に国際穀物市場の影響が重なり、米・小麦などの主要穀物の価格は、昨年10月以来、大幅に上昇してきた。

 この穀物生産減少に歯止めをかけようと、中国政府は今年初め、穀物生産者への直接援助や減免税などの広範な助成手段を講じ、穀物増産を図ってきた。こうした穀物生産奨励策が実を結び始めたと言えるかもしれない。だが、目標が達成できるかは天候条件(洪水、干ばつ)次第である。まだまだ予断はできないだろう。

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