中国 穀物生産目標を5000万トン引き上げへ 人口増加を考慮

農業情報研究所(WAPIC)

08.8.29

 チャイナ・デーリィ紙によると、中国政府が穀物年産量を2020年までに5000万トン(10%)引き上げ、5億5000万トンにまで伸ばそうとしている。中国穀物部門全国協会(China National Association of Grain Sector)のSong Tingmingh副会長が28日、国家発展改革委員会と農業部が計画を策定中と明らかにした。

 この目標は、国務院が先月承認した目標を2000万トン上回る。2020年までに14億5000万人までに収めようと努力している人口の増加を考慮したもので、成功すれば需要の急増で緊迫が続く国の穀物需給を大きく和らげるという。しかし、実現は難しそうだ。

 Govt grain target raised 50m tons,China Daily,8.28
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2008-08/29/content_6979325.htm

 Song氏によると、新たな計画は主要生産省の潜在能力をフルに引き出すことを目指す。吉林省、黒竜江省、河南省などいくつかの省は、今後数年にわたる穀物生産計画を既に策定している。吉林省はトウモロコシ、河南省は穀物、黒龍江省は米と大豆の生産を増やす。

 しかし、Song氏は、人口増加、耕地の縮小、水資源の欠如を考えると、5000万トン増産の実現は難しいと言う。中央政府は、67万fの北部中低収量農地の改良や、バイテク革新を通じた既存の土地の収量改善に頼らねばならない。

 去年、中国は5億150万トンの穀物を生産したが、総需要を1500万トン下回った。ただし、農業部によると今年の夏穀物は5年続きの豊作で、1949年以来最大の収穫が見込まれるという。

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