タイ政府 米の政府買い上げ価格を切り下げ 国際米価低落に降参

農業情報研究所(WAPIC)

08.10.23

 米価維持のために11月から収穫が始まる08−09年主要産米の高値買い上げを計画していたタイ政府が、最近の国際米価低下傾向に打ち勝てず、買い上げ価格の切り下げを決めた。

 Pledging price cut by B2,000,Bangkok Post,10.21
 http://www.bangkokpost.com/211008_Business/21Oct2008_biz33.php

 白米は約束されていた価格(籾ベース、トン当たり)よりも2000バーツ切り下げて12,000バーツ(約34,000円)とする。香り米は以前の16,000バーツから15,000バーツに切り下げ、糯米は以前の9,000バーツのままとする。

 買い上げは11月1日に始まり、09年5月31日まで続く。先物の形での販売を選ぶ登録農家は、将来の価格が約束の買い上げ価格よりも上がったときには、市場で販売することができる。ただし、これを選ぶ農家は自前の倉庫またはサイロを持つ必要がある。

 価格維持のために、政府は白米500万トン、香り米150万トン、糯米150万トン、総計800万トンにのぼる大量の買い上げを目指す。このために、政府は1,000億バーツ(約2,800億円)の支出を見込む。

 タイ米輸出協会会長は、これで他の輸出国に対するタイ米の競争力が増す、何よりも政府の財政負担が軽減されると歓迎している。それでも、約束価格は標準米(精米)にしてトン当たり620ドルから630ドルに相当し、現在475ドルのベトナム5%白米より相当高い。

 新米買い上げのためには現在政府が保管している200万トンほどの古米を売り払う必要があるから、新たな買い上げ計画が価格下げ圧力を強める恐れもある。ベトナムが新米を売りつくすまでは、価格上昇は期待できないという。

 他方、タイ農民協会会長は、政府が価格を切り下げたいのなら、肥料や農薬などの生産費を補償すべきだ、支持価格は14,000バーツに保つことを望むと言っている。

 関連情報
 タイ政府 米価支持のため、新米800万トンの買い上げを準備,08.9.11
 タイ政府 保証価格での米買い上げ100万トン追加 農民の人気取りで政局混乱収拾?(08.9.6)
 タイ 大量の政府備蓄米を政府間ベースで輸出へ 古米処分と米価維持?,08.8.4

 参照:国際米価格の最近の推移