ロシア 大豆油等食用油の輸入関税引き下げへ インフレ抑制のため

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.3

 ロシア政府が1日、インフレ抑制キャンペーンの一環として、12月から6ヵ月間、大豆油・ヒマワリ油・菜種油に対する輸入関税を15%から5%に引き下げると発表した。また、来年1月から6ヵ月間、一部野菜の輸入関税も15%から5%に引き下げる。

 アナリストによると、ヒマワリ油の関税引き下げではウクライナが、大豆油の関税引き下げからブラジル、アルゼンチンを含むラテンアメリカ諸国が利益を受ける可能性がある(Vegetable Oil Import Duty to Be Cut,Moscow Times,11.2

 食用利用に加え、バイオディーゼル原料用利用も加わって需要が急増する植物油(または油料種子)、供給が追いつかず輸入国の争奪に拍車がかかるということだろうか。輸入国どころか、輸出国のアルゼンチンさえ国内インフレ抑制のために、小麦・トウモロコシともに禁輸措置を取ってきた。新政権誕生で漸く輸出が再開されるが、政府収入を増やすために27.5%の輸出関税を課すという(小麦、トウモロコシは20%)(Argentina to resume wheat exports,FT,11.1)。

 大豆価格の高騰主要穀物と大豆の国際価格の推移)とともに、菜種油やパームオイルの価格も高騰している(図参照。データはFAO)。中国では今週月曜日、大連商品取引所 先物市場に初めて上場されたパームオイルの先物相場がストップ高の急騰、取引は開始10分後に打ち切られた。大豆に次ぐ世界で第二の消費量を持つ食用油であり、中国の2006年の消費量は514万トン、国の植物油総消費量の22%、世界全体の消費量の14%を消費したという (xinhua.net,10.29 http://news.xinhuanet.com/english/2007-10/29/content_6971640.htm)。

 大豆の高騰は直ちにパームオイルの高騰に跳ね返る。安い食用油など、どこにもなくなる。

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