農業情報研究所


アフリカ南部:1,000万人に飢餓の脅威

農業情報研究所(WAPIC)

2002.6.4

 5月29日、国連の食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)がアフリカ南部の1千万人が飢餓に脅かされていると警告を発した(Joint FAO/WFP: UN agencies warn of massive southern Africa food crisis: 10 million people threatened by famine )。両機関によれば、来年4月の収穫期までに、マラウィ・ジンバブエ・レソト・スワジランド4カ国で少なくとも400万トンの食糧輸入が必要になる。最悪の場合、1,100万から1,200万の人々の食糧が不足する。ザンビアとモザンビークの一部については、見通しは一層厳しい。

 マラウィでは、干ばつと洪水によるトウモロコシ収穫の減少のために、過去6ヵ月間に1万人以上が飢餓に関連した病気で死んでいる。経済危機と農業の混乱により、国内の至る所で食糧生産が落ち込んだ。WFPは、既にマラウィ・モザンビーク・スワジランド・ザンビア・ジンバブエの260万人に食糧を供給、多くのチャリティも始まったが、なお最低400万トンの食糧輸入が必要で、うち100万トン以上は直ちに必要だという。不作の年でも、収穫期には数カ月あるいは数週間分のトウモロコシがあるが、今年はそれさえない。両機関は、食糧供与国に迅速な対応を要請した。

 なお、声明は、これらすべての国が失業や外貨の欠乏を含む多くの問題の複合的影響を受けているが、特に南部アフリカにおけるエイズ感染の急速な拡大が食糧不足に対する防備を奪っていると指摘している。これとは別に、FAOは、最近の統計データによると、サブサハラ・アフリカのエイズ感染者2,800万人の半数以上が農村地域に住み、その家族は生き残るために必要な食糧の生産に苦闘していると発表している(AIDS hitting African farm sector hard)。

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