農業情報研究所>食糧問題または環境・自然保護・生物多様性>2019年2月24日
生物多様性喪失が世界食料生産を脅かす FAOが警告
国連食糧農業機関(FAO)が、生物種の数と多様性の減退により世界の食料生産能力が重大な脅威に曝されているという警告を発した。
22日に発表された世界の生物多様性に関する最初のアセスメントは、直接的に食料となる植物や動物だけでなく、授粉や土壌の肥沃度を維持など広範な道筋を通して農業をサポートする昆虫や微生物を含む関連種も失われつつあることを示している。
シルヴァFAO事務局長は、“生物多様性喪失は、植物と動物が病害虫に対して一層脆弱になることを意味する”、食料供給はますます少数の種に依存するようになっており、それが食料安全保障と栄養摂取をリスクに曝していると言う。
アセスメントによると、土地・水利用と管理の変化、汚染、気候変動、乱伐乱獲、人口成長、都市化など、生物多様性減退の多様な原因が認められる。
今や、世界の食料は200足らずの植物種から生産されており、このうちコメ、トウモロコシ、小麦を含むたったの9種が世界の作物(さくもつ、サクブツではありません)生産の3分の2を占める。 これでは、たった一つの病害でも、世界の人口を養う農民の能力に破滅的影響を及ぼす恐れがある。
肉、乳、卵を提供する家畜のタイプもたった40しかなく、各種内の多様性も失われつつある。アセスされた7745の地方的家畜品種の4分の1以上が危機に曝されている。
魚業資源も持続可能な限界に達したおり、これに頼るコミュニティに同様な危機をもたらしている。
アセスメントは、害虫を殺し、土壌の肥沃度を増し、植物授粉を助ける無脊椎動物や微生物など、未解明または未知の関連多様性”の深刻な喪失も強調している。
各国は多様性保全の枠組み設けているが、中には不適切なものもある。アセスメントは、農業により劣化する環境を保護するためのインセンティブの強化、生物多様性の科学の推進を要請している。
The
biodiversity that is crucial for our food and agriculture is disappearing by the day,FAO,19.2.22
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warns loss of biodiversity threatens food production,FT.com,19.2.22
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