米国農業最大の脅威 アジア大豆カビがついに上陸 ハリケーンが南米から運ぶ

農業情報研究所

04.11.11

 もし侵入すれば、米国農業の最大の脅威となると恐れらていた大豆カビ(サビ病)が、遂に米国に侵入したことが確認された。米国農務省(USDA)が10日、そのアジア株がルイジアナ大学の検査で発見されたことを明らかにした(USDA CONFIRMS SOYBEAN RUST IN UNITED STATES)。今年の強烈なハリケーンで、南米から飛来した可能性が高いという。

 このカビに取り付かれた大豆の収穫は皆無になる。根絶は極めて難しい。単一種の遺伝子組み換え大豆がほとんどを占める米国では危険分散もできないから、一度蔓延すれば、大豆生産壊滅の恐れもある。

 以前、USDAは、これが発生すれば、初年度の農民のコストは13億ドルになると警告している。被害を食い止める手段は、当面、早期発見と予防的農薬散布しかないが、農薬費により米国大豆生産のコストはエーカー当たり25ドル、比率にして15%から20%程度上昇すると見積もられている。今年の大豆作付地すべてに農薬を散布すれば、来年の農薬費は18億7000万ドルにのぼるとされる。

 世界の大豆需給にも大異変が生じるかもしれない。予想され、警告されてきた気象異変と病害虫による食料危機がいよいよ始まるかもしれない。

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