農業情報研究所(WAPIC)農業・農村・食料海外農業投資10年7月28日

外国農地投資 法弱体国に狙い 投機目的で安く買いたたく FT紙に漏れ出た世銀報告草案

 フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が「グローバル・ランド・ラッシュ:それは持続可能で公平な利益を生み出すことができるか」(The Global Land Rush: Can it yield sustainable and equitable benefits?)と題する世銀報告の草案を入手した。世銀が夏休みのただなかにこの報告を発表するのを防ぎたいという一人物がFTに漏らしたものという。

 草案によると、農地投資家は法律が弱体な国に狙いをつけ、農地を安く買い、雇用やインフラ投資を約束しているとはいえこの約束の履行を怠り、「地方の資源基盤に深刻な損害を負わせている場合もある」。加えて、要求される土地代金のレベルは低く、そのために投機が購入の基本的動機になっている。「土地代金はしばしば免除され、・・・・・・大規模投資家が払う税は小土地保有者より安いか・・・・・・無税の場合が多い」。

 草案は土地取得の成功例(大部分はラテン・アメリカとタンザニア)は少ないことを強調するが、全体的にみると、投資家は耕作に必要な専門知識を欠いているか、土地の生産的利用よりも投機的利得に対する関心の方が強いと警告している。土地投資を国の開発戦略と結びつける努力は滅多に見られない。地方コミュニティとの協議はしばしば弱く、土地への権利をめぐる紛争も常態化している。

 土地取引に関するデータはスケッチ程度のもので、大部分はローカルなメディアに依存している。ただ、いくつかの国の公式データでは、2004-2009年の間のスーダンにおける390万ヘクタール、エチオピアにおける120万ヘクタールなど、大規模な移転が示されているという。

 

 World Bank warns on ‘farmland grab’ trend,FT.com,10.7.27
 http://www.ft.com/cms/s/0/62890172-99a8-11df-a852-00144feab49a.html
 または
 World Bank warns of rush to buy farmland in countries with weak laws,Financial Times,10.7.28,p.3

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