米国の牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)防御措置とEUによるその評価

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農業情報研究所(WAPIC)

01.10.8

 

1.外国からの侵入防止

・土着の牛にBSEが存在すると判明した国からの生きた反芻動物の輸入禁止。牛の血清・骨粉・肉骨粉・血粉・くず肉・脂肪・腺の輸入も特別な条件または研究用の場合を例外として禁止(1989)。

・すべてのヨーロッパ諸国からの生きた反芻動物と反芻動物製品の輸入停止(1997.12)。

・ヨーロッパからの精製動物蛋白の輸入の全面禁止(2000.12.7、飼料のクロス・コンタミネーションの排除)。

(EUによる評価)肉骨粉輸入によるリスクは無視できる。1989年以前に感染した生きた牛が輸入されており、肉骨粉としてリサイクルされた恐れがある。

 

2.BSEのケースの確認と感染のリスクがある牛の排除

家畜の同定・モニタリングシステム

・各州でタグを付し、登録。

・州間移動の場合には許可が必要。

サーベイランス

・通報義務。

・関係者の教育・訓練(1989/90)。

BSEの症候のある牛のサーベイランス(脳サンプルの検査−1990)。

淘汰計画

1990年に策定。

(EUの評価)1989年以前には、BSEの確認と排除のシステムに限界。1990年以後は改善。ただし、大部分は通報を待ってのサーベイランスのシステムの下で、若干のケースは見逃される可能性。

 

3.感染性の排除

飼料規制

・飼料産業に対して反芻動物飼料への哺乳動物肉骨粉使用の禁止(1997.8)。

・食品医薬局(FDA)による監視()。

肉骨粉使用

1997年まで規制なし。以後、反芻動物由来の動物蛋白は豚・馬・家禽由来の肉骨粉に置き換え。

特定危険物質(SRM)の禁止と処理

禁止なし。SRMはレンダリングにまわされる。

レンダリング

加圧下、100から150℃、加熱時間はまちまちの四つのシステム

(EUの評価)BSE感染性は大きくは減らない。

クロス・コンタミネ−ション防止

レンダリング・飼料工場の監視

(EUの評価)牛の飼料への肉骨粉混入は排除できない。最悪の場合、牛に感染、人間の食物連鎖に入る恐れあり。

 

資料:EU(SSC):Report on the Assessment of the Geographical BSE - Risk of USA (July 2000)。米国の制度そのものについては、米国農務省(USDA)、食品医薬局(FDA)の資料で補ってある。

(以上は2000年7月時点でのEUのレポートに基づくものである。その後、米国の措置は強化されつつあることを断っておく»米国:狂牛病侵入防止策を強化,米国:保健省、狂牛病対策強化を発表

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