農業情報研究所
フィンランド:狂牛病確認、オーストリアでも疑い
農業情報研究所(WAPIC)
01.12.8
7日、フィンランド初の狂牛病(BSE)発生が確認された。病気が確認されたのは、ESBの特徴を帯びた症候を示したために屠殺された1995年生まれの乳牛である(参照:フィンランド:1頭に狂牛病の疑い)。
この牛は20頭の乳牛と13頭の未経産雌牛を飼う小経営から出たものであるが、ここでは20年来肉骨粉飼料は使っておらず、感染経路は不明である。AFPの報道では、獣医当局は、日本でも疑われているミルク代用品−それに含まれる獣脂−を疑っている。これは99%までフィンランドで製造されているが、残りは1990年代にドイツ、オランダ、デンマークから輸入されていた。 ミルク代用品は、肉骨粉とは別の感染源としてフランスでも疑われている(参照:フランス:1997年生まれの牛に狂牛病確認、感染ルート闇に)。
フィンランドは、EUのBSEリスク評価(2000年7月公表)では、米国・カナダ・スウェーデン・オーストリアなどと共に、BSEが「ありそうもないが、ないとも言い切れない」レベル2の評価を受けており、他のEU諸国に義務付けられた30ヵ月以上の牛の検査を免除されてきたが、今後はこの検査を行うことになる。今までは年に25,000頭の検査をしてきたが、30ヵ月以上の屠殺される牛すべてを検査するとなると、この数は125,000頭に跳ね上がる。
なお、フィンランドは、新設の欧州食品庁の誘致キャンペーンを勢力的に行ってきたが、BSE発生はこのキャンペーンにも暗い影を落とす可能性がある。
また、7日、ロイターが伝えるところでは、同日、オーストリアでもBSEが疑われるケースが見つかった。スイスで最終的な確認検査が行われるが、保健相は「100%疑われる最初のケース」と言っている。1月に発見されたケースは結局シロと判定されたが、初のケースとなる可能性が高い。そうなれば、EU諸国の未発生国はスウェーデンだけとなる。
リスク評価レベル2でも安心はできないし、100カ国以上にBSEが潜在するかもしれないというFAOの評価も現実味を帯びてきた。特に発展途上国のBSEサーベイランス体制の強化を急ぐ必要があると思われる。
Finns unable to trace origins of first
BSE case,FT com,01.12.7
First Finnish case of BSE confirmed,Helsingin Sanomat,01.12.7
Austria Suspects First Mad Cow Disease Case
- Reuters (Dec 7, 2001)
Premier cas de vache folle en Finlande
(AFP),vendredi 7 décembre 2001