農業情報研究所

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米国:BSE防止対策の進展状況、検査3倍増

農業情報研究所(WAPIC)

03.1.18

 米国農務省(USDA)は、米国の狂牛病(BSE)対策の進展状況に関する1月15日のNews Releaseで、とりわけ検査数の増大を強調、その他のBSE防止策も大きく前進したと発表した(USDA Marks Progress on BSE Prevention Action Steps)。

 発表によれば、USDAは、2002財政年度、屠殺の際に歩行できない牛、農場で死んだ牛、高齢牛、神経症の兆候を示す牛を含む1万9,990頭の牛の検査を行なった。この数字は2001年度の5,272頭のほぼ3倍に相当する。USDAは、これらのどちらも国際獣疫事務局(OIE)がBSE清浄国に対して課す基準・年に433頭をはるかに上回るものだと強調している。

 USDAは、リスク分析とリスク管理戦略、教育・啓発プログラム、BSEが疑われるケースの義務的通報などのすべての分野でも、OIEが要請する基準を超えていると言う。

  USDAは、米国におけるBSE発生は高度にありそうもないという2001年11月のハーバード大学の報告に際し、BSE防止プログラムを強化するためにとるべき一連の行動を発表した(米国:ハーバードの研究、狂牛病リスクは極少、専門家は批判,01.12.1)。それらの進展状況は、次のように報告されている。

 ・科学的完全性を期すためのハーバード大学リスク分析の見直し:数人の独立科学者によるハーバード大学報告の分析が行なわれており、この作業は今年6月には完成すると予想される。

 ・機械的回収肉に関する措置:USDAの食品安全・監視局(FSIS)が、2002年12月に新ルールを最終的に決定。新ルールの下では、肉回収に脊柱を使用する施設の監視官は回収肉中に脊髄が含まれないかどうか検証するために定期的にサンプルを採取し、もし脊髄が見つかれば、製品はFSIAの表示と監視の要件に合致しない。また、FSISは、今年8月、施設が回収肉に中枢神経組織が存在しないことを保証するための有効なプロセス・コントロール措置を持たない限り、回収に脊柱を使用してはならないとする新ルールを提案、コメントを求める予定である。

 ・一定のスタンニング装置の利用の禁止:FSISが、屠殺の間に牛を動くのを止めるために使用される空気注入スタンニング装置の使用を禁止するルールを、今年3月までに最終決定する。

 ・農場・飼育場での死亡牛処分のための規制を考慮するためのルール案の事前通知:FSISは、今年2月、死亡牛、死に瀕した牛、病気の牛、歩行できない牛を扱う者宛てに、これら牛をASISに登録するように要求する通知を出す。これは、BSEが発見された場合のトレースを助け、また飼料禁止を執行する食品医薬局を助けるためである。