カナダ 国内4例目の狂牛病を確認 食品検査庁「リスクの高まりは示唆しない」

農業情報研究所(WAPIC)

06.1.24

  カナダで狂牛病(BSE)を疑われる新たな牛が発見されたことを昨日報じたが(カナダで新たな狂牛病発生の疑い 48時間以内に最終確認,06.1.23)、カナダ食品検査庁(CFIA)が23日、この牛のBSE感染が最終的に確認されたと発表した。この牛はアルバータ州生まれで、およそ6歳(ということは2000年前後の生まれということになる)の交雑種という。

 http://www.inspection.gc.ca/english/corpaffr/newcom/2006/20060123e.shtml

 このケースは、国産牛初のケースが確認された2003年5月以来8万7000頭を検査してきた最高度リスク牛を標的する国家サーベイランス計画を通して発見された。この牛の地理的位置と年齢は、国家サーベイランス計画を通じてこれまでに確認された3ケースと違わず、カナダにおける現在のBSEに関する理解を変えるものではないという。

 2003年5月に確認されたカナダ国産牛初のケースはサスカチュアン州生まれのおよそ6歳のアンガス種(1997年3月生まれ)だった。感染源は肉骨粉(MBM)18%を含むカーフスターターとされている。このスターターは1997年8月のフィードバン(哺乳動物蛋白質の反芻動物への給餌の禁止)実施以前に地方飼料工場によりMBMを使って製造されたもので、この工場は北部アルバータの同一のレンダリング施設からMBMを受け入れていたという。

 2003年12月に米国ワシントン州で確認されたケースは1997年4月生まれのおよそ6歳半のホルスタイン種で、アルバータ中部の酪農農場の生まれ、2005年1月2日に確認されたケース(カナダのケース2)は8歳のホルスタイン種で、1996年10月にアルバータの酪農場で生まれ、2005年1月11日の確認されたケース(カナだのケース3)は1998年3月生まれの81ヵ月齢(6.75歳)のシャロレー種、やはりアルバータ州生まれだった。前の二つのケースの感染源は、フィードバン以前に地方飼料工場が製造したMBMを含む子牛育成用諸飼料が有力視されている。最後のケースの感染源はフィードバン以後に製造された飼料であることを示唆する証拠もあるが、それ以前に製造された可能性も排除はできないとされている。

 CFIAは、最新のケースの感染源は、多分同様な汚染飼料であろうが[だとすると、フィードバン以前に製造された飼料による交叉汚染が2000年になってもなお続いていることになる]、このケースは2004年12月に提案され、州や産業と協議中のフィードバン強化(カナダ、すべての動物飼料・肥料からの牛特定危険部位排除を提案,04,12.13)への動きを継続する必要性を支持すると言う。しかし、現在までの調査とサーベイランスの結果の分析はカナダのフィードバンが機能していることを示唆しており、今回の発見はカナダのBSE発生は低レベルという評価に影響せず、リスクの高まりを示唆するものではない、カナダの生きた動物、牛肉、牛肉製品の輸出能力への影響はないだろうとも言う。

 CFIAの獣医主任・エヴァンス博士によると、この牛はBSEの症候が進んだためにその所有者が獣医に要請してと殺され、検査に送られた。検査は構想どおりに機能しており、このケースは歓迎できるものではないが、予想されなかったものではない、2003年5月と同様なカナダ牛肉に対する世界市場の閉鎖には必ずしもつながらないだろうと言う。

 CFIA confirms new BSE case,canada.com,1.23
 http://www.canada.com/topics/news/national/story.html?id=d67db70c-f0ab-439b-8c2f-4533cb8615af&k=72853

 米国のジョハンズの農務長官は、カナダからの牛肉と生きた牛の輸入体制の変化は予想されない、「牛肉の安全性と、我々と承認された牛肉貿易相手が我が国の食品供給の保護のために設けているセーフガード措置を信頼している」と言う。

 USDA:STATEMENT BY AGRICULTURE SECRETARY MIKE JOHANNS REGARDING BSE FINDING IN CANADA,1.23
 http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2006/01/0021.xml

 カナダ産牛肉の輸入を再開したばかりの日本の政府からの公式反応はない。