国内29例目のBSE患畜にミルフードAスーパー 

別に鶏豚飼料原料動物性油脂の成分規格違反も発覚

農業情報研究所(WAPIC)

06.10.18

 国内29例目の狂牛病(BSE)患畜に関する疫学調査結果第1報が発表された。この患畜が1歳になるまでに給与された飼料の中で、原材料に動物性原料(魚粉は除く)が含まれるのは、またも(株)科学飼料研究所高崎工場が製造・輸入元の代用乳・ミルフードAスーパーだけで、肉骨粉を含むものはなかった。

 これに含まれる動物性原料は、豚由来の血しょうたん白、生乳由来の脱脂粉乳・濃縮ホエーたん白・乾燥ホエー・カゼイン、動物性油脂、卵由来の卵白粉末という。

 農林水産省:BSE患畜(29例目)に関する情報(BSE29例目の疫学調査第1報),06.10.16
 http://www.maff.go.jp/www/press/2006/20061016press_6.html

 肉骨粉が与えられたのは22例目の1例だけで、すべての患畜が与えられた動物性原料は代用乳原料としての脱脂粉乳と動物性油脂で、肉用牛(24例目、92年生まれ)の例を除けば、これに血しょうたん白と乾燥ホエーが加わるだけ(国内27頭目の狂牛病患畜の疫学調査結果発表 すべてに共通な動物性飼料原料は動物性油脂,06.6.6)というこれまでの事情と変わるところはない。

 これらの飼料調査に落ち度がないとすれば、そして動物性原料がBSEの唯一の感染源とすれば、22例目を除くすべての患畜の感染源は代用乳とするほかない(92年生まれの肉用牛でさえ、代用乳を与えれていた。肉用牛を超効率的な”牛肉生産装置”に変えるために生まれてすぐに母子を引き離す”超早期母子分離”技術が急速に広がっているから、こうした例もますます増えるだろう)。

 なお、農水省は17日、肥飼料検査所による10月8日の立入検査で、山形県・雨宮産業(株)本社工場が製造した鶏・豚等用の飼料の原料に成分規格不適合の動物性油脂(ラードB)が含まれる「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」に対する違反事例が発見されたと発表した。このような飼料に使われる動物性油脂は、BSE発生予防の観点から不溶性不純物含有量が0.15%以下でなければならないとされているが、当該動物性油脂には0.36%の不溶性不純物が含まれていたという。

 肥飼料検査所を通じ、当該業者に対し、@基準・規格に違反した動物性油脂の出荷停止、A出荷されているものについて、出荷先への違反事実の連絡、回収 、B同種の飼料についての品質確認等違反の有無の確認、C原因究明及び再発防止策等の策定、等について指導しており、当該油脂は、出荷先において鶏豚等用油脂の原料として使用されており、牛用飼料用としての出荷はされていないことが確認されているという。出荷先 がどこかは示されていない。

 農林水産省:飼料安全法の基準・規格に違反する事例について06.10.17
 http://www.maff.go.jp/www/press/2006/20061017press_6.html 

 関連情報
 国内29例目の狂牛病確認 99-00年生まれのケースが95-96年生まれと同じ13頭に,09.9.29
 
動物性油脂成分規格違反が発覚 改めて問われるBSE感染リスク,05.1.27