欧州議会委員会 強力な化学物質規制(REACH)法案最終版を採択 

農業情報研究所(WAPIC)

06.10.11

 閣僚理事会とともにEUの重要政策の決定権限を持つ欧州議会の環境委員会が10月10日、”化学物質の登録・評価・認可”(REACH)に関する立法の最終バージョンを採択した。

 European Parliament:REACH: firm stand by Environment Committee at second reading,06.10.10

 それは、昨年11月の欧州議会採択案(欧州議会 壮大な化学物質規制法を承認 化学物質との全面的戦いの第一歩,05.11.18)の立場を再確認、化学物質生産・輸入企業に対して、年間供給量が10トンまでの物質も含む既存のおよそ3万の化学物質が安全であることを立証し、(利用可能な代替物質がある場合には)危険物質をより安全な物質に置き換えることを義務付ける。

 このばバージョンの下では、癌、生殖問題、人体への蓄積を引き起こす最も危険な物質は、@適当な代替物質か技術が存在しない、A社会的・経済的利益がこれら物質の人間の健康と環境へのリスクを上回ることが立証される、Bリスクが適切に管理される、という三つの条件を満たさないかぎり、許可されない。許可は5年間に限る。

 さらに、化学物質お製造者・輸入業者・川下の利用者は、環境と人間の健康への悪影響を防止し・制限し・修復するために必要なあらゆる努力をなし、いかなるリスクに関しても適切な情報を提供しなければならない。

 昨年12月の産業企業担当相理事会は、産業の猛烈な圧力に押され、発癌物質、生殖毒性物質、ホルモン撹乱物質を最も危険な物質のリストから外した上に、より安全な代替物質が利用可能な場合にさえ、”適切な管理”手続の下で許可を与えねばならないとしていた。

 Extraordinary COMPETITIVENESS (Internal market, Industry and Research) Council meeting - Brussels, 13 December 2005

 欧州議会委員会の立場は、この閣僚理事会の立場と対立する。ただ、イタリアからの一選出議員は、閣僚の立場は委員会の立場と”真っ向から”対立するものではない、合意のチャンスは70%あると言っているという。

 Tough laws loom for Europe's chemical industry,New Scientist.com,11.10

 環境団体・地球の友ヨーロッパは委員会決定を歓迎、来るべき数週間の討議で閣僚と欧州委員会が欧州議会の立場を支持するように要請している。

 REACH - European Parliament committee backs safer chemicals rules,06.10.10

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