農業情報研究所環境農薬・化学物質・有害物質ニュース:2010年10月13日(10月14日訂正)

オーストラリア 殺虫剤・エンドスルファン使用禁止へ 米欧等60ヵ国以上グループに仲間入り

  オーストラリアがエンドスルファン(ベンゾエピンとも呼ばれる有機塩素系殺虫剤)の使用禁止に踏み切った。

 この殺虫剤はEU諸国やニュージーランドを含む世界60ヵ国以上が使用を禁止しており、今年は残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の残留性有機汚染物質(POPs、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念される物質)のリストにも加えられた。米国環境保護庁(EPA)も昨年6月、農場労働者と野生動物を神経及び生殖に関する受け入れがたいリスクにさらすと、全面禁止に動いた(米国 殺虫剤・エンドスルファン使用の全面停止へ 労働者と野生動物に容認できない神経・生殖リスク,10.6.11)。それにもかかわらず、オーストラリア政府は、正しく使えば安全だと、多くの果実・野菜生産者、ナッツ・ワタ農家などが使うのを許してきた。

 しかし、オーストラリア農薬・動物用医薬品局の報道官が12日、2007年以後に現れた新たな研究がその従来の立場を変えさせたと語った。局が用意したリポートによると、エンドスルファンは大抵の動物グループに対して高い毒性をもち、比較的低いレベルの暴露でも急性・慢性の影響を与える十分な証拠がある、「オーストラリアにおけるエンドスルファンの登録と承認の継続は、修復不可能な意図せざる環境影響を持つ可能性が高い」ということだ。

 報道官は、「エンドスルファンに関する重大な問題は、もしそれを使えば、蒸発し、環境全体に広がることだ。それは長期にわたって環境中に残留し、寒冷気候の動物の体脂肪に蓄積する傾向がある」と言う。

 Australia joins other countries in banning endosulfan,smh,10.13
 http://www.smh.com.au/environment/australia-joins-other-countries-in-banning-endosulfan-20101012-16ht7.html
 Australia finally bans endosulfan,ABC Rural News,10.13
 http://www.abc.net.au/rural/news/content/201010/s3037092.htm 

 わが国は、エンドスルファンの使用を許し続ける数少ない先進国ということになりそうだ。

  訂正(10月14日):この記事掲載後、反農薬東京グループの河村宏氏から、「反農薬東京GHPに載せたように、日本での登録は929日に失効しました。理由は、「原体の供給中止のため。」となっています。ただし、回収はされていないので、手持ちのものは使用できます。」との注意を頂いた。従って、「わが国は、エンドスルファンの使用を許し続ける数少ない先進国ということになりそうだ。」は間違いです。お詫びし、訂正します。