農業情報研究所環境農薬・化学物質・有害物質ニュース:2012年5月11日

フランス パーキンソン病を農業者の職業病と公式に認める

 フランス政府がパーキンソン病を農業者の職業病として認め、この病気と農薬との因果関係を確認した。5月6日付のフランス官報に掲載されたデクレ(政令)で、農事・海洋漁業法典の付表である農業者職業病の一覧表に「農薬が引き起こすパーキンソン病に関係する」第58表を付け加えた。現在の認識でパーキンソン病と農薬の因果関係確認は可能という。

 Décret n° 2012-665 du 4 mai 2012 révisant et complétant les tableaux des maladies professionnelles en agriculture annexés au livre VII du code rural et de la pêche maritime,JORF n°0107 du 6 mai 2012 page 8149
 http://www.legifrance.gouv.fr/affichTexte.do;jsessionid=F02B64383C21B5FF75E0565AE7309CB6.tpdjo17v_1?cidTexte=JORFTEXT000025804441&categorieLien=id

 ル・モンド紙は、これは農業者の職業病の認知に向けての一歩前進という。一歩前進というのは、農薬の農業者の健康への影響は意識され始めたばかりだからだ。

 この10年に職業病認定委員会に報告されたパーキンソン病の例は20例にすぎない。うち10例は職業病と認定され、10例は認定を拒否された。さらに、病気が農薬により引き起こされたと認められたのは4−5例だけである。全体として、4900の病気が毎年農業者の職業病として認められている。しかし、その90%以上は筋肉−骨格障害で、残りの大部分は動物と、木材または石綿の粉塵に関連したものという。

 Le lien entre la maladie de Parkinson et les pesticides officiellement reconnu,Le Monde,5.10

 それにしても、農業者の農薬関連職業病が日本で認められるのは何時のことだろうか。まして、1000ベクレルを超える農地で働く福島の農業者の放射線被ばくによるさまざまな健康障害が職業病と認められる日は永遠に来そうもない。人びとの関心は専ら食品安全に向いており、農業者の健康など意識にものぼらない。

 関連
 
フランス農業共済 パーキンソン病と農薬への職業的暴露の関係の究明へ,06.10.19