米国EPA 殺虫剤・クロルピリホスの食品への使用を米全土で禁止
米国環境保護局(EPA)が8月18日、人、特に子供と農業労働者の健康保護の改善のために農薬・クロルピリホス(殺虫剤)の全ての食品への使用を禁止すると発表した。EPAは、食品に対して許される農薬の量を確認するクロルピリホスのすべての”許容量(tolerances)”を無効にするという。
EPA Takes Action to Address Risk
from Chlorpyrifos and Protect Children’s Health EPA 21.8.18
クロルピリホスは大豆、果実、ナッツ、ブロッコリー、カリフラワー、その他の条播作物など広範な農作物で広く使われており、非食品利用もある。その神経毒性、特に子供の神経発達への影響は早くから指摘されてきた。2007年には環境グループが食品へのすべての使用を禁止するようにEPAに請願した。8年後の2015年、オバマ政権下のEPAは禁止を提案したが、トランプ政権になると農務省(USDA)が農業への悪影響への懸念を強調、方向転換することになった。18日のEPAの決定で環境グループの15年越しの闘いが実を結んだことになる。
米国(連邦)も、漸く既に禁止しているEU、カナダやカリフォルニア、ハワイ、メリーランド、オレゴンなどの州の仲間入りだ。アルゼンチンも最近、クロルピリホスやクロルピリホスメチル、これらを配合した農薬の輸入、国内販売、使用を禁止したという報道もある(ジェトロ:クロルピリホス、クロルピリホスメチル配合の農薬の輸入・販売・使用を禁止へ 21.8.12)。
ただし、日本が孤立から脱する気配は見えない(発達障害との関連が疑われる農薬、欧米で同時に禁止 日本は再び後手に Yahoo!
JAPAN 20.3.9;クロルピリホス - 厚生労働省)。
神経毒農薬クロルピリフォス 最大の生産化学企業が生産停止へ 需要減で撤退 農業情報研究所 20.2.9