神経毒農薬クロルピリフォス 最大の生産化学企業が生産停止へ 需要減で撤退
子どもの低出生体重、IQ低下、精神発達遅滞、作業記憶低下、注意力不足などとの関連性が指摘されている殺虫剤・クロルピリフォスの世界最大の生産者・(ダウケミカルとデュポンの合併で生まれた)Corteva
Agriscienceが、今年年末までにその生産を中止すると発表した。
Corteva
to stop making pesticide linked to kids' health problems,Reuters,20.2.6
安全性への懸念からではない、経済的な理由からである。
環境グループの使用禁止運動や規制の拡大・強化に伴う新たな代替薬品への転換で、クロルピリフォスの需要が劇的に減った。最大市場・米国での需要はピーク時、1990年代の20%以下になった。1994年、1300万ポンドだった使用量は2016年には500万ポンドに減った。
EUにおける使用禁止の動き(欧州食品安全機関 クロルピリフォスに安全基準なし EUも来年から禁止か 農業情報研究所 19.8.4)やカリフォルニアでの2月6日をもっての販売停止とカリフォルニア農民による今年末以後の所有または使用の禁止(California
Bans Popular Pesticide Linked To Brain Damage In Children,npr,19.10.9)で需要はさらに減るだろう。
トランプ政府のクロルピリフォス擁護(米EPA長官 身内の科学者のクロルピリフォス農業用使用禁止勧告の拒否を約束,17.8.19)も大勢は変えられない。もはやクロルピリフォス商売は成り立たないと判断したのだろう。
クロルピリフォスは日本でも「リンゴ、ミカン、カキ、ナシ、茶、芝生、樹木などに用いられている」(環境省 クロルピリフォス)そうだが、もしそういう使用者がいるとすれば、早急に代替農薬を見つけ出さねばならない。