フランス:蜜蜂大量死の原因はフィプロニルによる種子被覆処理と判明

農業情報研究所(WAPIC

03.9.20

 今年6月、このホームページで、フランスのミディ・ピレネー地方で今年4月に蜜蜂の大量死が起き、それが高濃度の殺虫剤・フィプロニルに曝された結果であることは分ったが、このような高濃度のフィプロニルがどこからきたのかは不明で、関係地域におけるフィプロニル(及びこの事件に関連があり得る農薬)の利用に関する詳細な調査が行なわれる、と伝えた(フランス:殺虫剤フィプロニルで蜜蜂大量死,03.6.9)。9月4日、その調査結果がフランス農業・食料・漁業・農村省により発表された(Mortalités d'abeilles en Midi-Pyrénées : résultats d'enquêtes)。

 ヒマワリ播種後に死んだ蜜蜂に観察されたフィプロニルの含有量を説明するために、農薬の使用条件を現場で追跡調査したが、種子の特定の一品種がシンジェンタ・シーズ社の種子処理工場で処理を受けており、種子をフィプロニルで包むこの処理方法が播種機から出た揮発性分子を通しての汚染の原因であると結論された。

 省の食料総局は、同社に対して、既にこの処理方法とこのように処理された種子の在庫の利用の禁止の意図を伝えた。また、フランスでフィプロニルを販売するBASF社にもこの決定を伝えた。さらに、農薬で種子を包むフランスの種子処理工場は、今後の播種期前に、処理方法の適否を検証する試験を実施することになるだろうという。

 同省は、農薬で包まれた種子による栽培と蜜蜂の大量死の関係が初めて確認されたとし、これは、農薬の認可に際して、薬剤固有の性質だけでなく、使用・利用の条件も検討することが重要であることを示すと強調している。

 4月の蜜蜂大量死は告訴の対象ともなっているために、これらのことは担当裁判所にも伝えられた。