米エタノール最大手が破産申請　原料コスト上昇と信用収縮のダブルパンチ

米エタノール最大手が破産申請　原料コスト上昇と信用収縮のダブルパンチ

08.11.3

米国エタノール最大手の一つ＝ベラサン・エナージー社が10月31日、連邦破産法第11条（日本の民事再生法に相当）の適用を破産裁判所に申請した。

　トウモロコシ価格高騰に伴う原料コストの上昇で第三四半期決算が1億300万ドルとも言われる大赤字となった（米エタノール最大手メーカー　原料トウモロコシのコスト高で赤字に）上に、金融危機による信用収縮で資金繰りに行き詰ったためだ。

　会社は再生期間中にノーマルな操業を再開することを目指し、賃金は払い続け、トウモロコシその他の原料の買い付けを減らすこともしない。顧客への製品供給継続を確保する手段も取った。11月3日までにはレンダーとの追加融資協定に達する見込みともいう。

　同社は2001に創業、現在は全米8州に16の生産施設を持ち、08年末の年総生産能力は16億4000万ガロンに達するとされている。10月30日現在の年生産能力は14億2000万ガロンで、14億6700万ガロンのPOET社、10億700万ガロンのADM社と並んで米エタノール最大手の一角をなす。この3社だけで米国の全生産能力（約109億ガロン）の37％近くを占める（http://www.ethanolrfa.org/industry/locations/）。

　この最大手の破産申請で、政府の手厚い支援にもかかわらず、米国エタノールバブルの崩壊がはっきり見えてきた。経済性ではもっと見込みのない日本は、傷の浅いうちに撤退すべきだろう。現在の石油価格でガソリンと辛うじて競争できるのは、ブラジルのサトウキビエタノールぐらいにものだ。

　VeraSun Energy Corporation Launches Chapter 11 Case To Enhance Liquidity While It Reorganizes, VeraSun Energy Press Room,10.31
　http://www.verasun.com/Press/details.cfm?ID=161
　VeraSun files for protection,FT.com,11.2
　http://www.ft.com/cms/s/0/7b516942-a91d-11dd-a19a-000077b07658.html