農業情報研究所環境エネルギーニュース:2010年8月30日

 持続可能なバイオ燃料円卓会議 バイオ燃料の温室効果ガス排出基準を決定 ブレンド燃料で最低50%削減

 持続可能なバイオ燃料に関する円卓会議(RSB)が、持続可能なバイオ燃料が満たすべき温室効果ガス(GHG)排出基準を決めた。2009年11月に発表された「持続可能なバイオ燃料生産のためのグローバルな原則および基準:バージョン1」の原則3・基準3cで未定とされていた化石燃料ベースラインに比べての最低限の削減率を50%としたものだ。すなわち、EUの持続可能なバイオ燃料の認証も行うことになるRSBによって持続可能なバイオ燃料と認定されるためには、ベースラインに比べてのGHG排出量を50%以上削減しなければならばいということである。これは、最新のRSBニュースレター(Vo.l.2-issue1、August 2010)が伝えている。

 BioFuel for Thought, Issue 1 (August 2010)
 http://energycenter.epfl.ch/webdav/site/cgse/shared/Biofuels/Newsletters/10-08-26%20RSBNewsletter%20August%202010.pdf

 ただし、これは個々のバイオ燃料に適用されるものではない。個々のバイオ燃料は、排出量が多少なりとも減るかぎり、この基準を満たさないというだけの理由で認証を拒否されるわけではない。最低50%削減という基準は、さまざまなバイオ燃料 をブレンドしたバイオ燃料に適用されるものという。

 これは、RSB運営委員会が今年6月に暫定的に決定、7月にRSBのメンバーの代表で構成する11の会議(評議会)すべてにより確認された。その際、会議は基準3cを一部を改める新たな文言についての勧告も行った。この基準は18ヵ月の評価期間を経たのち、事務局が運営委員会と評議会に評価結果を報告する。

 新たな基準3cは、「「バイオ燃料ブレンドは、化石燃料ベースラインに比べてのライフサイクルGHG排出量を平均50%以上削減するものとする。ブレンドの中の各バイオ燃料は、ライフサイクルGHG排出量を化石燃料ベースラインよりも減らすものとする」と書かれる。 

 この認証はRSBが行うが、バイオ燃料ブレンドがこの最低条件を満たしていることを保証する責任はブレンダーにある。こうすることで、あらゆる経路(バイオ燃料)での炭素削減を奨励し (つまり、50%削減の基準に届かないバイオ燃にも、多少なりともGHG削減に貢献するかぎり、炭素減らしに参加する機会を与え)、ブレンダーに対しては全体としてのGHG排出量を大きく削減するRSB認証バイオ燃料を購入し・販売する市場の柔軟性を提供する のだという。

 この最低条件についての合意に先立ち、RSBはEMPA(スイス連邦素材科学技術研究所)と共同、GHG排出についての理解を深め、RSB規格の枠内でこの問題にどう取り組むべきか、二つの研究を行った。一つは、現在生産されている最も重要なバイオ燃料のライフサイクルGHG排出量の計算で、これにより、50%削減は「野心的」だが、実行可能と判断された。もう一つは、第一の研究で得られた情報を、管理方法の変更がGHG排出に及ぼす影響を評価するための4つのパイロット・プロジェクトから得られたデータと比較した。この研究で、農業からの排出がGHG収支を決定的に左右することが分かった。特に肥料の使用がGHG排出に大きな影響を及ぼす。加えて、森林の転換も大きな影響を与えるように見えた。

 RSBは、EMPAとともに開発し、これらの研究で使われたGHG排出の計算方法も承認した。これは、土地利用変化による排出も含む。ただし、バイオ燃料原料生産の増大がもたらす森林や草地の食料生産用地への転換のような間接的な土地利用変化の影響 にどう取り込むかについては、バージョン1発表当時から何の前進もなかった。バイオ燃料と間接影響に関するワークショップが6月にリオ・デジャネイロで開かれた。この問題の重要性では意見が一致したが、RSB規格で間接影響にどう取り組むかについてはコンセンサスがない。この問題については研究を続けるという。