農業情報研究所環境エネルギーニュース:2013年7月12日

欧州議会委員会 作物ベースのバイオ燃料制限へ バイオ燃料政策は間接的土地利用変化を考慮せよ

 EUの環境政策に大きな影響力を持つ欧州議会環境委員会(Environment Committee)が11日、輸送用エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率の2020年目標である10%のうち、作物ベースのバイオ燃料のシェアを5.5%に制限し、EUバイオ燃料政策は間接的土地利用変化(ILUC)―森林・湿地・草地などの作物生産用地化―から生じる温室効果ガスを考慮せねばならないとする法案を承した。これは、食料作物原料の第一世代バイオ燃料から海藻(アルガエなど)や廃棄物からの新世代バイオ燃料への転換を加速し、バイオ燃料作物生産のために使用される農地の拡大から生じる温室効果ガスを削減するための措置だという。

  Environment Committee advocates promoting advanced biofuels,European Parliament/News,13.7.11

 EUバイオ燃料生産者団体が最も恐れていた事態である。EUのバイオ燃料(ほとんどすべてが作物由来)利用は既に5%に達しており、新世代バイオ燃料開発の確たる見通しも開けない現状では、これはバイオ燃料産業の一層の発展を間違いなく妨げることになる。生産者団体のヨーロッパ・バイオディーゼル・ボード(EBB)は欧州議会に対し、未だ科学的に不確かなILUCの影響に基づく立法は回避し、クリーンなバイオディーゼルへの既存および将来の投資を支援する「公正」なアプローチを要請した。

 Out Of The ENVI Vote Today The EBB Calls On MEPs To Avoid Further Legislation Based On Insubstantial ILUC Calculations,EBB,13.7.13

 しかし、EEB等の長期にわたる反対にもかかわらず今回の決定だ。この決定が覆ることはまずないだろう。バイオ燃料産業が当初の日の出の勢いを取り戻すことは、もはやないだろう。

 関連情報

 バイオ燃料をめぐる国際動向:2012年(北林)  バイオマス白書2013(バイオマス産業社会ネットワーク) 13.5.15
 欧州環境庁 作物ベースバイオ燃料は環境に利あらず 間接的土地利用変化による環境影響大の報告書,13.7.4