農業情報研究所>環境>エネルギー>ニュース:2019年6月1日
米国EPA E15ガソリンの周年販売許可 狙いは中西部農民の大統領支持確保
米国環境保護局(EPA)が5月31日、エタノールを15%まで含むエタノール混合ガソリン(E!15)の周年販売を許すと発表した。
2001年以降モデル車、軽トラック、SUVs、フレックス燃料車など限定されているとはいえ多くの車での使用が認められているE15
の販売は、リード蒸気圧が1インチ平方当たり9ポンドを超える夏季(5月1日~9月15日)ドライブシーズンには、大気汚染防止(オバマ時代のクリーンエアー・アクト)の観点から認められてこなかったが(EPA
Announces E15 Partial Waiver Decision)。しかし、燃料需要が高まるドライブシーズンにE15が利用できればエタノール需要が大きく増える。それ低迷していたトウモロコシ需要の増大につながり、中西部トウモロコシ生産農民を喜ばすことになる。
今回の突然の措置が、貿易戦争により失われかけたコーンベルト農民の支持を再び取り戻そう目論むトランプ大統領の差し金によるものであることは見え見えだ。ウィーラーEPA長官、この措置は「トランプ大統領の指導によってバイオ燃料市場を拡大させるものと見えを切る。
しかし、やはりトランプ大統領の支持基盤であるテキサス、ルイジアナに集中する精油業者も黙ってはいない。EPAにそんな決定をする権限があるのかと、提訴する構えだ。E15を販売している給油所は全米で2000と未だ少ない。この措置でトウモロコシ消費がどれほど増えるかも不透明だ。トランプ大統領が失った支持をどれほど取り戻せるかも不透明だ。
トウモロコシのシカゴ先物相場は中西部を襲った大洪水のために3年来の高騰だが、それもトランプ大統領への支持回復に結びつくかどうか。トランプの迷走、まだまだ続きそうだ。
US pleases corn
farmers with fuel ethanol rule,FT.com,19.6.1
Trump lifts curbs on E15 gasoline to help farmers, angering Big Oil,Reuters,19.5.31