フランス・アン県の白鳥にH5N1ウィルス、ヨーロッパにも長期定着の恐れ

農業情報研究所(WAPIC)

06.2.27

 フランス農水省によると、フランス食品衛生安全機関(AFSSA)が、アン県ジョワイユ村地域の15羽の白鳥にH5N1鳥インフルエンザウィルス陽性を確認した。この村では18日に野がもにこのウィルスの存在が確認されている。白鳥に発見されたウィルスは、この野がものウィルスに極めて近似しているという。

 Plusieurs cygnes touchés par l'Influenza aviaire dans l'Ain(2.26)
 http://www.agriculture.gouv.fr/spip/leministere.leministrelecabinet.communiquesdepresse_a5795.html

 EU諸国における白鳥のH5N1ウィルス感染は、今月13日のイタリアでの確認後、ギリシャ、ブルガリア、ドイツ、オーストリアで立て続けに確認されており、ハンガリーでもH5ウィルスが確認されている。21日には、スロバキアのカモの一種(ミコアイサ)にH5N1ウィルスが確認された。25-26日には、ドイツでのさらなる広がりが確認され、ルーマニア南東部でも初めて野鳥の家禽の鳥インフルエンザが発見された。第一次検査の結果ではH5N1の可能性が高いという。26日には、スイスでもガンカモ科の野鳥(カワアイサ)に初の鳥インフルエンザ感染が発見され、 これもH5N1ウィルスの可能性が非常に高いと見られている。

 
  Bird flu fears grow in Europe,DW-world,2.27
  http://www.dw-world.de/dw/function/0,2145,12215_pg_1,00.html
  Grippe aviaire : fermeture des accès aux étangs de la Dombes (Ain) et nouveaux cas en Europe et en Chine,Le Monde,2.26
 http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-685875,36-745397@51-685981,0.html
 Bird flu arrives in Switzerland,NZZ.Onleine、2.26
 http://www.nzz.ch/2006/02/26/eng/article6505041.html

 H5N1ウィルスは、冬季のヨーロッパ各地の湖沼で生き残り、飛来する渡り鳥に次々と移っている恐れがある。ヨーロッパにも、アジア同様に長期にわたり居座る恐れもある。 野鳥に広がったウィルスを撲滅するのは難しい。密閉鶏舎といえども、家禽の感染・発病を防げないのはジョワイユ村隣村の七面鳥の例が示すとおりだ。養鶏産業も最悪の事態に見舞われる可能性が見えてきた。フランスとオランダで始まったワクチン接種の有効性も保証されるとは限らない。 発病は抑えられても、感染は防げない。感染した家禽のウィルスが野鳥に逆戻り、ウィルス変異を助長するかもしれない。危険は人間にも及ぶ。

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