英国H5N1鳥インフルエンザ勃発はハンガリーと関連?
07.2.5
英国・ガーディアン紙によると、環境食料農村問題省(DEFRA)が、昨日伝えたサフォークのバーナード・マシューズ社七面鳥農場でのH5N1鳥インフルエンザの発見(英国でH5N1鳥インフルエンザ勃発 土着野鳥へのウィルス拡散の恐れありと専門家,07.2.4)と、ハンガリーにおける最近のこの病気の勃発*との間に関連があるかもしれないと調査している。
政府は、先週金曜日に七面鳥農場で発見されたウィルスが、ハンガリーのガチョウ農場で先月発見されたウィルスと同じ株であることを確認したが、マシューズ氏はハンガリーに同国最大の家禽企業・Saga Foodsを所有している。DEFRAは、英国の農場とハンガリーのかかわりを含めた人間と動物の農場出入りの動きを調査したということだ。
バーナード・マシューズ社のスポークスマンは、両国での事業は所有権に関して関連があるだけで、すべての鳥は英国のもの、同社は最高度のバイオセーフティー基準を持ち、感染がどうして起きたのか”我々には完全にミステリー”と言い、野鳥がウィルスを持ち込んだ可能性**についてはコメントを拒んだ。
DEFRAも、過去に生きた鳥がハンガリーから輸入されたことはないと言っているが、卵が輸入された可能性についてはコメントできなかったという。
Mystery deepens over cause of Suffolk bird flu outbreak,Guardian,2.5
結論は出ていないし、出ないかもしれないが、養鶏産業のグローバル化時代、感染源・経路の特定がどんどん難しくなることだけは確かなように思われる。
* European Commission;Avian
Influenza: Highly pathogenic H5 virus confirmed in Hungary,07.1.25
OIE;H5N1
strain in Hungary is 99.4 percent same as last year,07.1.30
**昨年秋から今年にかけて北方から渡ってきた鳥のサーベイランスでは、今までのところH5N1陽性の鳥は発見されていない。イギリスに北からの渡り鳥が到着し始めるのは8月からである。そこで、これら渡り鳥ーカモメ(gulls)、ツル・サギ類(waders)、カモ(ducks)、ガン(geese)、ハクチョウ(swans)を標的とするサーベイランスが8月以後に始まるが、DEFRAによると、2006年8月から今年にかけてのサーベイランスではH5N1ウィルス陽性のものはまったく見つかっていないということだ。
捕獲された生きている鳥は2344羽検査したが、低病原性のH1N7、H6N1、H6N2、H5N3、H5ウィルスに陽性のコガモ4羽、マガモ4羽が発見されただけである。別のコガモ3羽に発見されたウィルスはただ“H5”とだけ記されている。
打ち落とされた661羽の検査では、コガモ1羽、マガモ2羽、コザクラバシガン(Pink footed goose)1羽に低病原性の4種のウィルス(H8N4、H6N8、H9N2、H5)が検出されただけだった。
そして死んだ鳥1049羽の検査では、マガモ1羽が低病原性H2N3、ハイイロガン(Greylag Goose)1羽に低病原性H6N8に陽性だっただけとされている。
ただ、NewScientist誌は昨年4月、イギリスの野鳥の鳥インフルエンザ検査方法が不適切で、感染を見逃している可能性があると指摘している(英国 白鳥のH5N1感染は孤発例と示唆 だが、感染見逃しの指摘もある,06.4.12)。
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