WHO パンデミック警戒レベル引き上げも ウィルス封じ込めは諦め

農業情報研究所(WAPIC)

09.4.28

 WHOが27日、インフルエンザ・パンデミック警戒レベルをフェイズ4に引き上げた。フェイズ4への引き上げは、パンデミックの可能性は高まったが、パンデミックが不可避であることは意味しない。さらなる情報が利用できるようになるのに応じ、レベルを元に戻すか、もう一段引き上げるか決定することになろうという。

 しかし、フェイズ4の行動の基本的目標であるウィルスの限定された地域への封じ込めは諦めたようだ。ウィルスの広範囲での存在を考えると、「発生の封じ込めは実行可能とは考えない。現在の焦点は、被害軽減措置に置かれるべきである」。さらに、というより、そうであれば当然かもしれないが、国境閉鎖や国際旅行の制限も勧告しないという。

  Director-General's statement on swine influenza,09.4.27
  http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2009/h1n1_20090427/en/index.html

 要するに、昨日も指摘したとおり(意見:豚インフルエンザ 何故パンデミック・フェイズを上げない?)限定された地域への封じ込めは、もはや手遅れということなのだろう。一部の報道に見られるように、この病気が スミスフィールドも関係するメキシコの巨大養豚工場周辺で、2月に始まっていたとすれば、今やウィルスが世界中に広がっていたとしてもおかしくない。

 Four-year-old could hold key in search for source of swine flu outbreak,Guardian,4.28
 http://www.guardian.co.uk/world/2009/apr/27/swine-flu-search-outbreak-source

 Mexico outbreak traced to 'manure lagoons' at pig farm,Times,4.28
  http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/article6182789.ece

  万全に見えたWHOシステムは、最も重要な初期対応からして完全に失敗した。そもそも、変幻自在のウィルスの封じ込めなど、人類の能力を超えていたのかもかもしれない。ワクチン製造はウィルスの拡散速度に追いつかないだろう。タミフル等抗ウィルス薬の備蓄も足りないだろう し、タミフルが効かない(抵抗性発達)恐れもある。ひたすら、ウィルスの低毒性に期待するほかなさそうだ 。[このウィルスは強毒性ウィルスの培養器である動物工場(→米国生物倫理学者 強毒性鳥インフルエンザの根源は工場養鶏 対策費用は工場産品課税で,05.11.15)から生まれた可能性もあるが、豚がバタバタ倒れたいう報告もない]