ヨーロッパの食品産業界 アマゾンの違法栽培大豆は使用しない

農業情報研究所(WAPIC)

06.6.24

  ガーディアン紙の報道によると、ヨーロッパの主要スーパー、食品製造業者、マクドナルドを含むファスト・フード・チェーンが今日、アマゾン地域で違法に栽培された大豆を使用しないと約束することが予想される。グリーンピースは今年4月、アマゾン森林の違法な破壊が米国に本拠を置くカーギル、ADM、バンジなどの多国籍企業により種子や資金を提供される大規模大豆栽培に関連していることを明らかにしたが(ファストフードと巨大アグリビジネスがアマゾン雨林破壊を加速ーグリーンピース報告,06.4.10)、この新たな取り決めはこのグリーンピースの仲介によるものという。

 Food giants to boycott illegal Amazon soya,Guardian,7.24
 
http://www.guardian.co.uk/frontpage/story/0,,1827515,00.html 

  この取り決めの下では、これら米国業者は、ブラジルのグルッポ・マッギ社とともに、今後伐採される森林のいかなる地域からの大豆も購入しないことを約束する。また、奴隷労働に結びついた大豆プランテーションからも購入しないと約束する。森林が既に刈り払われ、土地が違法に利用されているところでは、農業者がブラジル法の遵守を始めることを確保する新たなシステムの交渉が予想されるという。

 ブラジルの環境活動家は、この取り決めを出発点としては歓迎しつつも、「問題の解決にはならない」、「我々の地域の土地の6万haから8万haが既に破壊されてきた。森林を再建し、これを執行するためには巨大な投資が必要になる」と言う。

 アマゾン地域では、2年続きの深刻な干ばつが予想されており、これを森林破壊を結びつける見方がある(アマゾン流域 昨年に続く深刻な干ばつの兆候 森林破壊で恒常化の恐れ,06.7.17)。インディペンデント紙によると、マサチュセッツに本拠を置くWoods Hole Research Centreがアマゾン地域で行った研究は、森林は2年続きの干ばつには耐えられず、アマゾンが砂漠と化す日も近いと結論した。

 この研究報告によると、アマゾンは今や2年続きの干ばつに入ったように見え、来年には死に始める可能性がある。大規模火災が乾燥したジャングルを急速に覆い尽くし、樹木を失った土壌は陽光に焦げる。それがまた地球温暖化を加速する。稠密な森林は900万トンの炭素を含み、それだけで地球温暖化を50%加速するに十分だという (注)。

 Amazon rainforest 'could become a desert',Independemt,7.23
 http://news.independent.co.uk/environment/article1191932.ece

 この画期的取り決めも既に手遅れなのかもしれない。 恐らくは温暖化に関連しているであろう今年のヨーロッパや米国の猛暑、日本も含むアジア諸国の大雨がもたらす大洪水は、既に多くの人々、特に年寄りの安住の場を失わせつつある。

 (注)研究者は森林が雨なしにどう対処するかを知るために、プラスチックのパネルで森林を覆う実験を2002年に始めた。1年目は問題がなく、2年目には水を求めて根を深く降ろして生き延びた。しかし、3年目には枯れはじめた。樹高が高いほうから倒れはじめ、林床を乾燥させる陽光に曝した。その年が終わるまでに、これら樹木が生きている間に蓄えた二酸化炭素の3分の2以上を放出したという。