農業情報研究所


EU:残飯給餌禁止に欧州議会が反対、動物副産物規則採択は延期

農業情報研究所(WAPIC)

02.3.15

 13日、欧州議会は、欧州委員会が待望し、昨年11月には農相理事会も承認している(EU:農相理事会、動物副産物規則を採択,01.11.25)動物副産物規則の採択を延期した。

 この規則案は、人間の消費に適する動物の副産物だけが飼料・化粧品・医薬品に使用できる、動物の「共食い」は禁止する、動物副産物のコントロールとトレーサビリティ(追跡可能性)を改善するといった原則とともに、それを実現するための詳細なルールを提案している。さらに、バイオガス、コンポスト、混合焼却などの新たな動物副産物処理方法の導入も規定している。これらの措置により、動物副産物を介しての病気の伝達と動物飼料残留物から生じるリスクを防止する能力を高めるのが規則案の目標である。欧州議会も、こえらのほとんどすべての点で合意している。ただ一つ対立しているのが「残飯」の扱いである。

 欧州委員会は、残飯による家畜飼育は口蹄疫や古典的豚コレラのような家畜病の伝達のリスクを生むとして、このような給餌慣行の禁止をこの規則案に含めた。ところが、議会は豚や鳥の飼料への残飯使用の継続にこだわり、規則案の厳格なコントロールの適用に反対、残飯処理の安全性に関する別の規則を提案するように要求した。

 バーン食品安全担当委員は、巨大な損失をもたらした昨年のイギリスでの口蹄疫勃発は残飯の給餌が原因と一般的にみられているし(昨年5月、イギリスはこの慣行を禁止した)、豚への残飯給餌の継続は動物飼料の成分の品質や完全なトレーサビリティを保証するという目標や「共食い」禁止と対立すると規則案修正を拒否している。

 規則案が、いつ、どのような形で最終的に採択されるのか、見通しが立たなくなってしまった。

 関連資料
 BSE Byrne disappointed by EP position on catering waste delaying adoption of animal waste regulation,3.13
 Questions and Answers on animal by-products,3.13

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