農業情報研究所


米国:牛肉の大腸菌汚染で大規模回収

農業情報研究所(WAPIC)

02.7.22

 6月19日、米国農務省(USDA)は、少なくとも16人が大腸菌または大腸菌O157:H7に汚染された肉を食べて病気になったことから、米国史上二番目となる大規模な牛肉回収を命じた(Statement by Secretary Ann M. Veneman on the ConAgra Beef Recall)。USDAの要求で、ConAgra Beef社は過去3ヵ月の間に21の州に供給された1900万ポンドのひき肉を中心とする牛肉を回収することになった。

 USDAは6月末に問題に気付いたという。ConAgraから供給された肉の検査が大腸菌陽性を示し、6月30日には5月31日に供給されたすべての肉・35万4200ポンドの回収を求めた。7月初め、6月の後半2週間の間にコロラドでの病気発生に関するヒアリングを開始、7月15日までに、患者に発見された大腸菌がConAgraの汚染牛肉の大腸菌と同じ株のものであると判明した。肉の大部分は安全と思われるが、「予防措置」として回収を命じたという。ベナマン農務長官は、米国は世界一安全な肉を供給していると言う。

 しかし、このような大規模なスキャンダルは、米国の食肉安全確保政策に大きな欠陥があるのではないかと推測させる。消費者保護団体は、USDAは、消費者保護よりも食肉・家禽産業の利益を優先してきたと批判している。食肉・鶏肉検査プログラムは細菌事故から国民を守る機能を果たしていないと報告する未公表の会計検査院(GAO)レポートに関する記事がニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたのもつい先日のことである(米国:農務省の食肉・鶏肉検査に欠陥、連邦検査院)。食品安全行政への不信は日本だけのことではなさそうである。

 関連ニュース
 
Illness Prompts Recall Of Beef,The Washington Post,7.20
 19 Million Pounds of Meat Recalled After 19 Fall Ill,The New York Times,7.20
 Beef Processor's Parent No Stranger to Troubles,The New York Times,7.20
 Bacteria fears lead to massive recall of beef,FT com,7.19

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