フライ食品中の発癌性物質形成過程で最初の知見

農業情報研究所(WAPIC)

02.10.4

 今年初め、スウェーデンの研究者がフレンチ・フライ、ポテトチップス、朝食用の一定タイプのシリアルやパンなど、揚げられ、あるいは焼かれた澱粉質食品に、動物実験で発癌性があることが知られているアクリルアミドが大量に含まれていることを発見した。この事実は、その後イギリス、ノルウェー、スイス、米国などでも確認され、WHOもさらなる研究を要請している。一つの問題は、このような食品中にどのようにしてこの物質が形成されるかであるが、リーディング大学の研究チームによる研究結果が10月3日付けのネイチャー誌に発表された(RICHARD H. STADLER et al., Food chemistry: Acrylamide from Maillard reaction products,Nature,2002.10.3,p.448)

 この研究によると、アスパラギンと呼ばれるアミノ酸と砂糖の間で起こる「メイラード」反応によってアクリルアミドが形成されるらしいという。これは100℃以上で起きる。アスパラギンは多くの野菜に含まれている。これまで人の健康への影響がはっきりしないとして、WHOや各国の食品安全行政機関はバランスの取れた健全な食事を勧めるにとどまってきたが、こ の研究が何らかの新たな対策につながるかもしれない。

 米国の消費者団体は、これらの危険性のある人気食品について国民に知らせるように、政府が直ちに行動することを要請した。食品医薬局は、これら食品への警告表示を含め、一層のガイドラインを与える必要があると言う(US groupes seek warning labels on fried foods,Financial Times,10.1,p.7)。

 関連情報
 FAO/WHO:ポテトチップス等食品中のアクリルアミドに関する専門家会合,02.7.4
 
高澱粉フライ食品に発癌のリスク発見ースウェーデン研究者,02.4.25