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タイ:ビルマ国境地域で農薬大量使用

農業情報研究所(WAPIC)

03.4.3

 タイ全土に1日10万トン以上を供給するTak県からの野菜に危険なレベルの有毒物質が発見された。「バンコク・ポスト」紙によると(Dangerous levels of toxins found in veggies from Tak,Bangkok Post,4.2、先月30日に同県のPhop PhraとMae Sotの両地区を訪れた上院の「毒物及び有害廃棄物特別委員会」の12人のメンバーが、危険な農薬の農場での目に余る使用を発見したという。

 委員会議長は、この訪問は毒物の広範な使用の苦情を受けて行なわれたもので、ある研究は、[ビルマとの]国境地域、特にPhop PhraとMae Sotとモエイ川集水域で、毎年、夥しい量の化学肥料・農薬が使用されていることを発見したと言う。彼女によれば、生産物は全国に流通しており、大部分はチェックもされていないから、消費者の安全性が懸念される。

 公衆衛生当局は、昨年、地域の農場のビルマ人とカレンの労働者の血液を検査したが、Mae Sotの208人中の50%の労働者の血液に毒性物質が発見され、21%の労働者の血液では危険か、危険に近いレベルになっていたという。Phop Phraでは、血液サンプルの60%に有毒物質が見られ、31%が危険か、危険に近いレベルであった。議長は、政府に有害慣行を正し、有機農業を促進し、汚染化学物質の輸入を抑制し、汚染食品の危険性について消費者の覚醒を促すように要請すると語った。

 県の公衆衛生主任は、教育を受けていない労働者が、自分にも害が及ぶ無闇に多量の化学物質を使っているのだと言う。Mae Sot地区の25万ライ(400平方キロメートル)の農場では、主としてトウモロコシ、コメ、豆類、ジャガイモが作られており、農民は、毎年、農薬に3,200万バーツ以上を支出している。

 タイタイ農水産物は、外国政府による化学物質汚染を理由とする厳しい輸入規制に遭遇、政府も、首相の肝いりで安全確保に躍起となっている。しかし、これが国の隅々まで浸透するには相当な時間がかかりそうである。

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