農業情報研究所

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米国ロビー、砂糖摂取制限のWHO報告の発表阻止へ

農業情報研究所(WAPIC)

03.4.21

 世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)は、今年3月、独立保健専門家のリポートが食事に関す指針を作り、世界中での慢性病の増大に歯どめをかけるための行動を要請したと発表した。それには、脂肪の多い食品、塩、砂糖の消費を最小限にする勧告も含まれていた(WHOに食事に関する行動の要請)。この発表は、リポートは、今年4月、両機関の評価と勧告実施のための行動のアウトラインと共に、WHO/FAOテクニカル・リポートとして公式に刊行されると伝えていた。それは今週水曜日、23日の刊行が予定されている。

 ところが、米国砂糖産業が、このリポートが廃棄されなければ米国のWHOへの資金供与の停止を議会に要請するなど、あらゆる手段を使ってリポートの発表を阻止する挙に出ているらしい。このグループには、コカ・コーラ、ペプシコも含む300以上の企業が含まれる。WHOに向けた大量のブラックメールが発せられ、その圧力はタバコ・ロビーが行使した圧力も勝るといい、専門家に対しては、リポート撤回の直接の圧力もかかっているという。4月21日付のイギリス・「ガーディアン」氏が報じている(Sugar industry threatens to scupper WHO)。

 専門家は、炭水化物がエネルギーの大半ー一日当たり摂取量の55ー75%ーを供給すべきであり、砂糖は10%以下に制限するように勧告している。ガーディアン紙によれば、グループは医学研究所の砂糖25%までの摂取は受け容れられるという最近のリポートを拠り所に専門家のリポートは非科学的と避難しているが、当の医学研究所所長は、それはリポートの間違った解釈で、砂糖摂取に関する勧告はしていないという。WHOも、30人の独立専門家チームは科学的証拠を考慮しており、その結論は平均して10%の目標を定める23の国のリポートの知見に沿うものと、砂糖ロビーの批判を強く拒んでいる。