農業情報研究所食品安全ニュース:2015年4月8日

 

米国FDA カナダでリコールの興奮剤入りサプリメントにほっかむり FDA幹部が業界幹部

 

 カナダ保健省が昨年12月、ビタミンショップなどで広く売られているJetfuel Superburnという名のサプリメントに強力な興奮剤・アンフェタミンに似た化学物質が含まれているとして、カナダ全土の小売店に対しこの製品のリコールを要請した。この製品は減量やボディビル用に販促されているが、アンフェタミン興奮剤は、血圧、心拍数及び体温を上昇させる可能性があり、高用量では卒中などの深刻な心血管系の合併症につながる場合があるという。

  

 食品安全委員会食品安全総合情報システム カナダ保健省(Health Canada)、未表示の薬剤成分が含まれていたとして、一部の製品のリコールを公表
 
 http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04180820110

 

 しかし、ニューヨーク・タイムズ紙によると、アメリカでは食品医薬局(FDA)がこのことを知りながらほっかむりしているのだそうである。何故かというと、2011年から2014年までFDAのサプリメント部門を指揮していた人物がサプリメント業界団体である「自然製品協会」の上級幹部だったからだ。この幹部は今は古巣に戻り、現在の指揮官も、彼と入れ替わりに同じ団体からやってきたという。

 

 Study Warns of Diet Supplement Dangers Kept Quiet by F.D.A,The New York Times,15.4.8.

 

 そういえば、かつてリンカーン大統領により「人民の省」と呼ばれた米国農務省(USDA)も今や「アグリビジネス産業省」に変じたという批判が聞かれたが(USDAは「アグリビジネス産業省」、デタラメな米国BSE対策の根源 新レポート,04.7.26)、 FDAも「医薬・食品ビジネス産業局」に変じたのだろうか。

 

 

 わが国では4月1日から新たな「機能性表示食品」制度が導入された。事業者が科学的な根拠を消費者庁に届け出るだけで健康維持や増進に役立つといった効果を包装紙などに表示できるという。アメリカのような官民癒着はないことを祈る。

 

 ちなみに問題のJetfuel Superburn、日本では何のお咎めもなく売られているようだ。例えば、GAT JETFUEL SUPERBURN の通販 | カラメル。桑原桑原!