中国:WTO加盟で穀物農民所得が大幅減少

農業情報研究所(WAPIC)

2002.2.14

 中国政府のトップ農業専門家によると、WTO加盟に伴う穀物輸入増加により、中国農民は、今年、28億香港ドルの損失を蒙る。

 今年の穀物輸入は国内生産の9%に相当する4000万トンの達する。これは、少なくとも2500万の農民の所得に影響を与え、去年の価格で計算すると平均農民所得は100−130元、全体で25−32.5億元減ることになる。中国の平均農民所得は2200元で、痩せた土地、あるいは限界地に住み、穀物に依存する農民の所得はこれを大きく下回るから、この減少は重大である。

 この専門家は、コメ、コーン、小麦、大豆、大豆油の輸入を予測しているが、今年は南部、東南部の多くの需要家が契約しておらず、特に東北地域農民が大きな影響を受ける。とりわけ、この10年の生産が急速に増えたコーンが大きな影響を受ける。

 彼によれば、WTO加盟は損失より利益をもたらすが、穀物生産地域ではそうは言えない。影響は地域・作物・人々により異なり、地域に応じた政策調整が必要である。WTO加盟は沿岸地域農民には好機をもたらすが、内陸農民への圧力は増す。

 Farmers face $2.8b loss in wake of WTO,SCMP.com(South China Morning Post),02.2.14
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農業分野の5大措置を発表、WTO加盟で、人民日報日本語版、02.2.5

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