農業情報研究所グローバリゼーション農水産物・食料品貿易ニュース:2013年11月16

(続)農水省がコメの関税率を778%から280%に修正? 国際価格大幅下落の現在にはまったく不釣り合い

 昨日、農水省が修正したコメの関税率280%という数字は近年の「標準的国際米価」を基準とすれば低すぎると書いた(農水省がコメの関税率を778%から280%に修正? 国際価格大幅下落の現在にはまったく不釣り合い)。ただ、関税率は実際に輸入される米の価格を基準に計算されるべきであり、言うところの標準的国際米価は現実の輸入価格よりずっと低いという見方もあるだろう。

 実際、通常は日本の輸入米のほとんどすべてを占めるミニマムアクセス米においてはタイ米、ベトナム米だけでなく、それよりも相当に高いアメリカ米、オーストラリア米、中国米などが含まれる。従って、現実の輸入価格は標準的国際米価を相当上まわるだろう。これを基準に計算した関税率は標準的国際米価を基準にしたものより相当に低くなるだろう。

 この場合、TPP妥結をにらみ日本へのコメ輸出拡大を狙うベトナムなどからすれば、このように計算した関税率は日本の関税率を不当に低く見せかける”偽装表示”だという見方も成り立つ。ただ、関税率は現実の率で示すべきという意見にも一理はある。少なくとも、それがどれほどになるかを確かておくことには意味があるだろう。

 そこで、ここはミニマムアクセス輸入米の価格を基準にすることにしよう。ミニマムアクセス一般米入札取引における落札価格をこの価格に見立てると、それは下図のとおりである。2008年にはキロ100円を超えることもあったが、2005年から現在まで、ほぼキロ50円から70円ほどのレベルで推移している。これを基にすれば、関税率は341/50〜341/70の682%〜487%とするのが妥当ということになるだろう。農水省の言う280%の基準価格はどこから出てきたのだろう (あるいは年10万dのみの主食用米だけを考慮?それでは不公正だろう)。依然として疑問は解けないのである。